人間を思いどおりに操ってみたい。そう思ったことはないだろうか?
嘘をついたり脅したりする必要はない。口下手でも気が弱くても問題はない。心理学に基づいた会話としぐさで、相手を思いどおりに操れる。お客さんも上司も、そして女の子たちも、思わずイエスと答えてしまう。そんな夢のような会話テクニックを紹介したい。
mokuji
ブラック会話術1;質問をすれば、自分から行動してくれる
人間は説得をされたり、考えを押し付けられたりすると反発したくなる。「部屋を片付けなさい」「勉強をしなさい」「仕事をしなさい」「運動をしなさい」。言っていることはもちろん正しい。それはわかっている。だけどそんな言い方ではやる気がでない。絶対にやりたくない。もう会話したくない。あっちに行ってほしい。こんな経験はだれもがあるだろう。
説得を続ければ続けるほど、考えを押し付ければ押し付けるほど、相手の反発力は高まっていく。こちらが押せば相手は逃げるのだ。だったら引いてあげればいい。会話での引くとは、その場から離れることではない。相手の口から言葉を引き出すこと。質問をして相手に答えさせるということだ。
たとえば仕事をさぼっている社員に対して「さぼっていないで仕事をしなさい」と言い「仕事とはこういうものだ」と正論を説いたところで逆効果だ。こういう場合には「さぼっていると結果的に長時間働かなくちゃいけないよね?」と質問をする。相手がはやく帰りたいと思っているときには「それもそうだな」と素直に聞き入れるはずだ。
どのような質問が効果的かは相手の性格をみて決めればいい。プライドが高い相手には「評価が下がっちゃうんじゃない?」、女性にモテたい社員には「女の子に嫌われちゃうんじゃない?」など相手の痛いところをうまく刺激してあげると、相手は「そうだな」とすんなりと受け入れるだろう。
これはセールスにも応用ができる。なにかを買ってもらいたいときには「〇〇を買ってください」「〇〇はここがいいですよ」とストレートに言ったところで買ってはくれない。たとえば洋服屋の場合には「量販店の洋服と比べて、〇〇は何かが違うとは思いませんか?」とお客さんに質問をしてみる。「手触りがいいね」とか「縫製がしっかりしているね」とか相手が答えてくれればしめたもの。こちらが言わなくてもお客さん自身がセールスポイントを発見してくれたのだ。そのセールスポイントに関してはお客さん自身も納得済みというわけだ。
このように「〇〇だ」「〇〇でしょ」と説得するのではなく、「〇〇だと思いませんか?」と質問をしてその答えを相手に答えさせる。相手は意見を押し付けられるわけではないし、自分で答えを見つけるわけだから嫌な気分にはならない。行動をしてほしいときには、相手に答えさせるのが効果的だ。
ブラック会話術2;選択肢を増やせば、売りたいものが売れる
ランチのメニューが800円と1000円の2種類で内容にそれほどの差がなければ、多くの人は800円のメニューを注文する。しかし選択肢が1つ増えて800円、1000円、1500円のメニュー構成の場合には、今度は1000円のメニューが売れはじめる。1500円のメニューが現れたことで、1000円のメニューが相対的に安く感じられるようになり、お得感が演出できる。さらに真ん中の商品には「無難感」や「安心感」を与える効果がある。真ん中の商品は買いやすいのだ。
人間のこの心理を利用して、売りたい商品の上下の価格帯の商品をあらかじめ用意しておけば、売りたい商品が売れるようになる。しかしあきらかに売る気がない商品や架空の商品では、お客さんにはバレてしまう。おとり商品だとわかれば、売れるものも売れなくなるし、信頼度はマイナスに振り切ってしまう。うまいこと調整してもらいたい。
上司に企画案を提出するときには、承認してもらいたい案件だけを持っていかず、選ばれる可能性の低そうな案件を1つ2つ混ぜあわせて、その中から選んでもらうようにする。相対的におすすめの案件が目立つため、上司はその案件を選んでしまうというわけだ。
プライベートでは、なにかを買ってもらいたいときに効果を発揮する。ブランドバックがほしい女性は、少し安いバックとちょっと高価なバックを比較対象として彼氏やパパに見せればいい。買ってもらえるかどうかは彼氏やパパの懐具合とその女性の愛され度に左右されるのでなんともいえないが、たぶん買ってもらえるだろう。
反対におねだりされる立場の人は注意したい。「3つの商品で悩んでいるの」という発言すれば、その相手はきっとブラック心理学の使い手だ。だからといって買ってあげないのではケチくさい。そんなときにはドヤ顔で「これがほしいんだろ」と真ん中の価格の商品を手に取ろう。「わたしのこと、ぜんぶわかっているのね」と相手はときめくだろう。あとでいいことがあるかもしれない。
ブラック会話術3;手を向けておけば、選んでもらえる
なにかを頼むときには、「これをお願いします」と言うよりは「どちらかをお願いします」といくつかの選択肢をあたえ、その中から選んでもらうのがいい。選択肢が1つしかない場合には相手は押し付けられた感じがする。それに対して、いくつかの選択肢を提示した場合には相手は自分の意思で決めたという気持ちになる。押し付けられた仕事と自発的に取り組む仕事ではモチベーションは大違いだ。
人を動かすのが上手な人は相手の意思を尊重し、自分で決めさせる。しかし相手を尊重しているのは見せかけだけで、実際には心理トリックを使って自分の思い通りのものを選ばせているのだ。
マジシャンがよく使うテクニックに次のようなものがある。トランプのカードをテーブルの上にいくつか並べて、相手に引いてほしい札のほうに自分の手を向けておく。そうすれば、相手は無意識的にそのカードを手にとってしまう。こういった心理トリックだ。
上司に企画を通したいときには、複数の企画書を机の上に並べて、選んでほしい企画書のほうに片手をそえる。企画書をじっと見つめるのでもいい。内容に大差がなければ、上司は片手をそえた方を選んでくれるはずだ。
ブラック会話術4;同じ言葉を何度も繰り返せば、従ってくれる
思う通りに相手を誘導したい場合には、同じセリフを2回、3回と繰り返すといい。催眠術師のように暗示をかけるわけだ。売れる営業マンは誘導するのがおそろしくうまい。相手の心を動かすために「買う」「お得」「欲しい」というキーワードを会話のなかで何度も繰り返す。その言葉を聞いているうちに、お客さんは「そうなのかな」という気持ちになってくる。お客さんの意識のなかにキーフレーズを植え付けていくわけだ。
人間は同じ言葉を繰り返し聞かされると、その影響を受けてしまう。テレビコマーシャルの耳ざわりのいいフレーズを無意識的に口ずさんでしまうことがある。無意識のうちに影響を受けている、というのがポイントだ。
買ってほしい商品があるなら「買う」というフレーズを連発する。「この商品を買うなら今でしょ」「アンケートではこの商品を買ってよかったと言う人は90%以上です」「買っていただければアフターサービスは万全です」というように繰り返す。そうしているうちに、お客さんは買うのが当たり前のような気がしてくる。
催眠術も基本的にはおなじ理屈だ。「あなたは眠くなる」「だんだんと眠くなってきた」「まぶたが落ちて眠ってしまうそうだ」などと「眠る」というフレーズを繰り返す。その結果、信じられないことだが、相手は本当に眠くなってしまうのだ。
どうしても「今日」中に商談をまとめたい場合には「今日決めていただくと」「今日のプランは」「今日にかぎっては」などと「今日」というキーワードを連発すればいい。世間話にも「今日はいい天気ですね」「今日のネクタイはめずらしいですね」と積極的に取り入れていく。反復することで、相手の脳には「今日」という言葉が刻み込まれ、最終的には「今日決めます」と言わせることができるのだ。
ブラック会話術5;自分では言わず、他人に語らせる
心理学では本人が直接言うより、第三者を通して伝えたほうが説得効果が高くなると知られている。これは第三者には説得がうまくいったとしてもメリットがない、つまり下心がないため、その発言は信頼できるということだ。相手はこのように考える。だから第三者にはまったくの他人や利害関係のない人物を選ぶのがポイントになる。
「仕事ができるね」「かわいいね」と面と向かってほめられるとうれしい反面、戸惑ってしまうことがある。ほめる相手がうたぐり深い人物の場合には「この人には下心があるのでは?」と逆に警戒されてしまうだろう。ではどうやってほめればいいのか? そこで登場するのが第三者だ。
たとえば「あなたになら仕事を任せても大丈夫だと〇〇さんが言っていました」や「うちのクラスでは〇〇さんがかわいいってみんなで言っている」というようにほめるのだ。間接的にほめることで、複数の人がそう思っていることが相手には伝わり、話には信ぴょう性が生まれる。直接伝えるのとは違って下心を疑われる心配もない。相手は恥ずかしがることはあっても、警戒されることはなくなるだろう。
実際には第三者がいる必要はない。自分の意見であっても第三者から聞いた話として伝えればいいのだ。
女性を口説くときには「〇〇ちゃんかわいいね」と直接言うのではなく「〇〇ちゃんってよくかわいいって言われるでしょ?」と客観的に評価をしてあげたほうが喜ばれる。とくに自分の容姿に自身がなかったり、相手とは年齢が離れているときには第三者を登場させたほうが警戒もされず、会話がはずむはずだ。
ブラック会話術6;期限を設定すれば、人は動く
人をやる気にさせるには期限を設定してあげればいい。もともと人間とは、なまけものな生き物だ。勉強でも仕事でも皿洗いだって、時間に余裕があるときには後回しにしてしまう。とくにやりたくないことはその傾向が大きい。真面目な人でも「いつまでに」という締め切りがなければすぐに取り掛からず、先延ばしにしてしまう。
実際には期限がない場合でも、あえて期限を設けたほうが仕事はスムーズに進む。スティーブ・ジョブズ氏はiPodを開発するとき、「半年以内に作れ」と社員たちに命じたという。この言葉が社員たちを「本気でやらないとまずいことになりそうだ」という気持ちにさせたのだ。
優秀な経営者は、むずかしいとわかっているときほど目標を高く設定したり、無理な期限を設けたりする。彼らはプレッシャーをあたえれば社員はよりいっそう働くという事実を知っているのだ。
ブラック会話術7;イエスがほしいときには、ストライプを着る
会話もしくさも関係ないが、番外編として付け加えておきたい。相手にイエスと言わせたいときにはストライプの洋服を着ていくといい。これは心理学的にも根拠のある話だ。信じられないかもしれないが、続きを読んでみてほしい。
僕らは首を縦に動かすだけで、「イエス」と答えたときとおなじ心理状態になる。横に動かせば「ノー」と返事をしたときとおなじ気持ちになるということがわかっている。つまり、ストライプを着ているとイエスと言いやすくなり、ボーダーを着ているとノーと言いやすくなるというわけだ。
縦じまのシャツを見ていると視線を縦に動かすことになる。横じまのときには横に動かすことになる。視線を動かせばそれと同時に首も上下左右に動くという理屈だ。縦じまのシャツでは相手は肯定的な気分になり、横じまの服では否定的な気持ちになる。ここぞという勝負服にはストライプを選ぶべきなのだ。
ブラック会話術;まとめ