投資はずいぶんと身近なものになった。最近では口座開設や取引がスマホひとつでできる。投資のハードルは大きく下がった。初心者でもかんたんにすぐにはじめられる。
とはいっても初心者からすると、なにから手をつければいいのやらまったくちんぷんかんぷん、といったところだと思う。
この記事では、専門知識なし・まとまった資金なしの初心者がスマホひとつで少額からできるおすすめの投資方法を紹介する。下記の4つの方法だ。
- つみたてNISA
- iDeCo
- ポイント投資
- ロボットアドバイザー
記事の中にはわからない言葉がでてくるかもしれない。その言葉の意味は記事のどこかで説明している。だから最後までとにかく読み進めてみてください。最後には、投資ってこんなかんたんなもんなの? ってなると思う。
mokuji
スマホ投資をはじめる初心者が知っておきたい資産運用の超基礎知識
まずは、資産運用の基礎知識からはじめる。スマホ投資をはじめる初心者でも、これくらいは知っておいたほうがいいというものだけをまとめた。
投資をはじめる初心者が増えている

楽天証券の資料によると、証券口座の新規開設数は20〜30代と投資初心者で増えている。その割合は、2016年から2020年の4年間でおそよ10%も増えた。
また、つみたてNISAの口座数は、2020年3月末の時点で前年同期の2倍になった。
株式投資と投資信託の違い
株式投資は、銘柄の選択から売買までを本人がおこなう。何から何まで自分の手でやりたいという人に向いている。
投資信託は、プロが選んだいくつかの銘柄がひとつの商品(ファンドという)になっている。少額から分散投資ができる。商品を買うだけで勝手に分散投資になるからだ。運用もプロがやってくれる。初心者向きである。
株式投資のメリット・デメリット
- 自分の好きなタイミングで売買できる
- 短期〜中期で利益を得やすい
- 株主優待や分配金が得られる銘柄がある
- まとまった資金が必要である
- 情報収集や分析が必要である
投資信託のメリット・デメリット
- 少額から投資ができる
- 分散投資でリスクを減らすことができる
- 投資の専門家に運用をお任せできる
- 専門家に支払う運用管理費用(信託報酬)がかかる
投信積立は長期の運用向きの投資方法
投信積立は、投資信託を毎月一定額、継続して購入(積立)する投資方法である。
購入するファンドと月々の購入金額をはじめに決めたあと、毎月自動で積立をする。購入金額は100円や1000円といった少額から設定できる。
投信積立は、日々の値動きに慌てたり焦ったりしないで済む。投資にかける時間は少なく抑えられる。
一定額を継続して購入する投資は「ドルコスト平均法」とも呼ばれる。ドルコスト平均法は、市場価値が高いときは少なく、安いときは多く買う、という手法である。平均購入単価を下げることで運用益を上げやすくなる、というメリットがある。
このメリットは、長期で運用すればするほど大きくなる。投信積立は、老後の生活費を貯めるのに向いている。
投資をはじめる前に準備するもの
投資方法には株や投資信託、FXなどがある。どの投資方法を選ぶにしても、証券口座の開設が必要になる。取引をするための口座だ。証券口座の開設には、マイナンバーの届出が義務づけられている。
「つみたてNISA」や「iDeCo」を利用するときは、総合口座とは別に専門口座も開設する。
スマホ投資で初心者におすすめの資産運用4選
ここでは、スマホ投資で初心者におすすめの4つの資産運用方法をざっくりとまとめた。個々については、あとで詳しくおすすめの理由を書いた。
スマホ投資の初心者がまずするのは、目的や資産の状況に応じて、ぴったりの投資方法を見つけることである。紹介する4つの投資方法は併用もできる。お金に余裕のある人は、4つとも挑戦してみるのもありだ。
つみたてNISA
- 年間の投資上限額は40万円
- 運用益は20年間、非課税になる
- 対象商品は金融庁の基準を満たした投資信託のみ
- 少額を長期で積立したい人や分散投資でリスクを抑えたい人向き
- 資産は好きなタイミングでいつでも引き出せる
iDeCo
- iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金とは別に老後資金を補うために任意で加入できる私的年金制度のこと
- 掛金は毎月5000円以上
- 引き出しは原則60歳以上
- 掛金全額が所得控除の対象となる
- つみたてNISAは所得控除の対象外
- 節税対策にはiDeCoが適している
- 節税対策や老後のための資産を作りたい人向き
ポイント投資
- 一部の証券会社では、買い物などで貯めたポイントを現金化して、投資信託や株式などの購入に利用できる
- 自己資金を減らすリスクを負わずに投資ができる
- 現金を使った本格的な投資の練習として利用する人も多い
- 貯めたポイントでリスクなく運用したい人向き
ロボットアドバイザー
- ロボットアドバイザーはAIがユーザーに適した投資先を提案してくれる
- 投資一任型のロボットアドバイザーは、投資先の選択、売買、リバランス(資産配分の調整)まですべてAIに任せられる
- 運用益は課税対象になる
- つみたてNISAやiDeCoにプラスしてもっと運用したい人向き
「つみたてNISA」をスマホ投資初心者におすすめする理由
ここでは、スマホ投資初心者につみたてNISAをおすすめする理由をまとめた。
運用益にかかる約20%の税金が非課税になる
証券会社の特定口座や一般口座で投資信託を購入したときは、運用益に約20%の税金がかかる。
しかし、つみたてNISA口座には非課税投資枠が最大で800万円(年間上限額40万円×20年間)ある。*注意:未使用枠は、その年の投資額が40万円以内でも翌年以降には繰り越せない。
たとえば、運用益が10万円だったとする。特定口座や一般口座では税金で2万円を引かれるので、受け取れるのは8万円になる。一般NISA口座やつみたてNISA口座ではまるまる10万円受け取れる。
最長20年間の積立で多額の運用益が期待できる
投資信託は、購入したときより基準価格が上がったタイミングで売ると利益が得られる。これは株と同じである。だから元本割れのリスクはある。投資をはじめた初期は、とくにそのリスクが高い。
しかし、つみたてNISAの対象商品は、長期の分散投資に適した投資信託のみである。さらには金融庁のお墨付きもある。安心度はまるで違う。
また、投資信託は長期間運用するほど資産アップが見込める。たとえば、月3,3000円を運用利回り年率3%で20年間積み立てたとする。元本は792万円で、運用益は291万円になる。
これほどの運用益は、銀行の普通預金では絶対に得られない。つみたてNISAは早くはじめるほうが得だし、やらないのはもったいない。
つみたてNISAは少額投資に向いている
NASA制度には、一般NISAとつみたてNISAがある。個人でふたつを併用することはできない。
一般NISAは、つみたてNISAに比べて対象商品が多い。購入に関する自由度も高い。しかし非課税期間は5年間だけである。とても短い。
少額からコツコツはじめたい人はつみたてNISAがおすすめだ。
一般NISAとつみたてNISAの違いは下記にまとめた。
一般NISA
- 投資方法:スポット購入・積立方式
- 年間投資上限額:120万円
- 投資可能期間:2014〜2028年(見込み)
- 非課税で所有できる期間:5年
- 対象商品:国内外株式・投資信託
つみたてNISA
- 投資方法:積立方式
- 年間投資上限額:40万円
- 投資可能期間:2018〜2042年(見込み)
- 非課税で所有できる期間:20年
- 対象商品:国が定めた基準を満たす投資信託
*つみたてNISAをもっと詳しく知りたい人のために、金融庁のホームページを貼っておきます。
つみたてNISA口座のおすすめ金融機関
つみたてNISA口座は多くの金融機関で開設できる。販売手数料はどこでも無料だが、取扱商品数や最低積立金額、ポイント還元率に違いがある。
取扱商品数
金融庁が発表しているつみたてNISAの対象商品は、投資信託とETF(上場投資信託)を併せて181本(2020年4月1日現在)である。
取扱商品数が多い金融機関は、次の5社だ。
- SBI証券 160本
- 楽天証券 158本
- 松井証券 152本
- auカブコム証券 150本
- マネックス証券 149本
商品数が増えると投資の幅は広がる。しかし、なかには少ないほうが使いやすいと感じる人もいる。ようは好みである。
最低積立金額
つみたてNISAの最低積立金額は、ほとんどの金融機関では「月1,000円以上」で、購入は「1000円単位」である。なかには「月100円以上」で「1円単位」という金融機関もある。
つみたてNISAの投資上限額は年間40万円である。「1円単位」で購入できる金融機関では月33,333円まで購入できる。
次の6社の金融機関は100円から積立ができる。
- SBI証券
- 楽天証券
- 松井証券
- マネックス証券
- auカブコム証券
- 大和証券
ポイント還元率
金融機関によっては、つみたてNISA口座の積立額や購入額に応じてポイントを還元している。
ポイント還元率がダントツなのは楽天証券である。他社の還元率は0.01〜0.1%程度なのに、楽天証券は楽天カードで決済するだけで1%も還元される。楽天証券には、貯めたポイントの使い道が多いというメリットもある。
- 楽天証券 買付金額の1%
つみたてNISAは楽天証券がおすすめ
楽天カードで購入すると、100円につき楽天ポイントを1%還元する。
楽天銀行口座と連携して「楽天銀行ハッピープログラム」に登録すると、残金10万円ごとに毎月4ポイントがもらえる。さらには、楽天銀行の普通預金金利も0.1%にあがる。
「iDeCo」をスマホ投資初心者におすすめする理由
ここでは、スマホ投資初心者にiDeCoをおすすめする理由をまとめた。
手厚い税制優遇がある
iDeCo(個人型確定拠出年金)は任意で加入できる年金制度である。掛金+運用益は60歳以降に受け取れる。
運用益は全額非課税である。一時金として受け取るときは「退職所得控除」が適用される。分割で受け取るときは「公的年金等控除」が適用される。
掛金は全額が所得控除になる
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になる。受け取り時の税制優遇以外に、運用期間中の所得税と住民税の負担も減る。所得税率は課税所得で異なるので、課税所得が多い人ほどメリットが大きい。
たとえば、年収650万円の会社員が毎月23,000円の掛金を積み立てたとする。1年間では82,800円、25年間では2,070,000円(207万円)のお得になる。
掛金の上限は、職業や被保険者種別によって異なる。
*iDeCoをもっと詳しく知りたい人のために、iDeCoの公式ホームページを貼っておきます。
iDeCoはSBI証券がおすすめ
SBI証券にはiDeCo利用者向けのサイトがある。サイトはスマホにも対応している。
商品はラインアップの違う2つのコースから選べる。おすすめはセレクトプランで、信託報酬が国内最安のインデックス投資から、好成績で人気のアクティブ投資までそろっている。
「ポイント投資」をスマホ投資初心者におすすめする理由
ここでは、スマホ投資初心者にポイント投資をおすすめする理由をまとめた。
資金投資の練習になる
ポイント投資は、買い物などで貯めたポイントを現金化して、投資信託や株式などの購入にあてる。楽天証券では楽天ポイント、SBI証券ではTポイントを使うことができる。ほかの投資方法とは違って資産が減るリスクはない。
また、ポイント投資には証券口座を開設しなくていい運用方法もある。ポイント運用という。
ポイント運用は現金化はできない(ポイントとしてはもちろん使える)。運用中のポイントは、株や投資信託の値動きによって増えたり減ったりする。
商品購入金額の一部または全額をポイントで支払える
ポイントは商品購入金額の一部または全額に利用できる。楽天証券やSBI証券では、ポイントを投資に利用するときは「1ポイント=1円」換算になる。使用するポイント数は自分で指定できる。
ポイントが使える取引は証券会社によって異なる。
ポイント投資は楽天証券がおすすめ
楽天証券では、楽天ポイントと楽天証券ポイントをつみたてNISAの購入にも使える。
ポイント利用をあらかじめ設定しておけば、最低100ポイントから1ポイント単位で購入金額の一部または全額に充てられる。
「ロボットアドバイザー」をスマホ投資初心者におすすめする理由
ここでは、スマホ投資初心者にロボッット投資をおすすめする理由をまとめた。
商品選びから売買まで任せっきりにできる
ロボットアドバイザーには「投資アドバイス型」と「投資一任型」がある。
投資一任型は運用のすべてをAIに任せるというもの。1万円や10万円といった少額からはじめることができる。
運用コストも低めである。投資信託の購入手数料や為替手数料はかからない。運用益には税金がかかる。
投資一括型と投資アドバイス型の違いは下記にまとめた。
投資一括型
- 証券会社とユーザーが投資一任契約を結ぶ
- 投資商品の購入から運用、定期的な資産配分(リバランス)まですべてAIが代わりにやる
投資アドバイス型
- AIがユーザーに適した資産配分などを無料で提案してくれる
- AIはアドバイスをくれるだけ
- 購入や運用はユーザーがやる
元本と運用益はいつでも引き出せる
ロボットアドバイザーは長期の運用に適した投資方法ではあるが、元本や運用益はいつでも引き出せる。つみたてNISAやiDeCoとは違って掛金の上限もない。
WealtNaviは、預かり資産と運用者数がNo. 1の投資一任型ロボットアドバイザーである。
WealthNaviの専用口座では10万円から投資がはじめられる。それ以降は毎月1万円から積立投資ができる。
さまざまな金融機関にサービスを提供している。たとえば、SBI証券には「WealthNavi for SBI証券」がある。
スマホ投資のはじめ方 まとめ
この記事をまとめる。
- 投資はスマホひとつでできるようになった
- 投資をはじめる人が増えている
- 初心者は投資信託がおすすめ
- 毎月一定額を積み立てる投資方法を投信積立という
- 投信積立は長期の運用に向いている
- 投資をはじめるには証券口座の開設が必要である
- 初心者におすすめの投資方法は次の4つ
- つみたてNISA
- iDeCo
- ポイント投資
- ロボットアドバイザー
- つみたてNISA口座は楽天証券がおすすめ
- iDeCoはSBI証券がおすすめ
- ポイント投資は楽天証券がおすすめ
- ロボットアドバイザーはWealthNaviがおすすめ
この記事の続きとして「スマホ投資におすすめ アプリや専用サイトのある証券会社8社」を書いた。口座の開設から日々の取引までスマホひとつでできる証券会社と、つみたてNISA、iDeCo、ポイント投資、ロボットアドバイザーへの対応のありなしをまとめた。証券会社ってよくわかんないんだよね、という人は読んでみてください。
この記事は、ファンドアナリストの篠田尚子さんの著書を参考に書いた。