言いにくいことを電話で伝えるクッション言葉【25例文付き一覧表】

言いにくいことを電話で伝えるクッション言葉【25例文付き一覧表】

お願いするときや相手の申し出を断るときなど、言いにくいことを「相手の機嫌を損ねずに、かつ自分の意見は伝える」のはむずかしいことだ。どう話せばいいのか、悩むことが多い。とくに電話では表情が見えないため、慎重になる。

そんなときに便利なのがクッション言葉だ。ひと言つけ加えるだけで、配慮した印象を相手に与えられる。4つの場面別に、クッション言葉とそれを使った例文を紹介する。一覧表として使ってもらいたい。

mokuji

依頼・お願いするとき、尋ねるとき

お願いや依頼をするとき、「〇〇してください」と直球で伝えるのでは、相手に失礼な人だと思われるかもしれない。「〇〇してください」は丁寧語だが、人によっては命令・指示されていると受け取る。紹介するクッション言葉は、こういう場面で役立つ。相手に配慮した印象になる。

「〇〇してください」ではなく、「〇〇していただけますか」「〇〇していただけませんでしょうか」など、疑問形にすることで、お願いでありながらも、相手に決定権を委ねている形になる。さきほどより印象が良くなる。

同様に「〇〇いただけますと幸いです」も使える表現だ。語尾を工夫することで、さらに丁寧な印象に変わる。

1恐れ入りますが/恐縮ですが

例文「恐れ入りますが、ご確認のうえ、〇月〇日までにお返事いただけますでしょうか」

2買って申し上げますが/身勝手なお願いではございますが

例文「こちらの都合で勝手申し上げますが、急ぎご確認いただけますでしょうか」

3よろしければ/差し支えなければ

例文「よろしければ、弊社からパンフレットを発送いたします」

4お手数をおかけいたしますが/ご面倒をおかけいたしますが

例文「お手数をおかけいたしますが、伝言をお願いできますでしょうか」

5無理を承知でお願い申し上げますが

例文「無理を承知でお願い申し上げますが、納期を少し延ばしていただけませんでしょうか」

6ご教示賜(たまわ)りたいのですが

例文「不勉強なもので、ご教示賜りたいのですが、御社ではどのような研究をなさっているのでしょうか」

催促するとき

ビジネスでは催促する場面が数多く訪れる。とくに社外の人は、相手の仕事の状況や社内の事情が把握できないこともあり、「迷惑ではないか」と催促をためらう気持ちもわかる。しかし、ビジネスでは「こちらも待っているのだ」と伝えることも大切だ。

催促するときに大事なのは、相手にも事情があることは察している、という気持ちを伝えることだ。まず相手の事情を聞き、そのうえで、あとどれくらい待てるのか、こちらの事情を伝える。歩み寄りの姿勢を見せよう。

7ご多忙中とは存じますが

例文「ご多忙中とは存じますが、ご検討いただけますと幸いです」

8急かすようで大変恐縮ですが/たびたびのご連絡となり恐れ入りますが

例文「急かすようで大変恐縮ですが、〇〇の件はその後いかがでしょうか」

9できれば〇〇日頃までに

例文「できれば〇月〇日頃までに、一度お返事いただけませんでしょうか」

10お手すきの際にでも

例文「お手すきの際にでも、一度ご確認いただけますとありがたく存じます」

11ご検討いただいているところと存じますが

例文「先日の案件、ご検討いただいているところと存じますが、その後いかがでしょうか」

12〇〇だけでもお知らせいただけませんでしょうか

例文「ご依頼いたしました件について、ご検討の状況だけでもお知らせいただけませんでしょうか」

断るとき

申し出や誘いを断られると、誰でも残念だと感じる。断る側には、少しでも相手の残念に思う感情を和らげ、今後につながるような断り方をする必要がある。

紹介するのは、相手の誘いをありがたく思い、否定するのは残念だ、という意味を込めたクッション言葉だ。断るときこそ、相手への気づかいが伝わるかが試される。断り方次第では、関係が切れてしまうこともある。うまく切り返せば、今まで以上に良い関係を築くことも可能だ。相手の気持ちに配慮した言葉を組み立てよう。

13申し訳ございませんが

例文「申し訳ございませんが、ご要望にはお応えいたしかねます」

14残念ながら

例文「残念ながら、今回は不採用とさせていただきました」

15せっかくですが/せっかくのお話ですが/ありがたいお話ですが

例文「せっかくのお話ですが、今回は参加することができません」

16大変残念ですが

例文「大変残念ですが、会社の方針により、今回のお話はお受けできないことと決まってしまいました」

17大変申し上げにくいのですが

例文「大変申し上げにくいのですが、今回は発注を見送らせていただきたく存じます」

18お役に立てず申し訳ございませんが

例文「お役に立てず申し訳ございませんが、また別の機会にご一緒できればと存じます」

反論するとき、目上の人に対して意見を言うとき

会議などで相手の意見に反論するとき、相手の機嫌を損ねないか悩むことが多い。しかし、こうした場面で意見をはっきり言えることも、ビジネスパーソンには大切だ。とくに上司や取引先の担当者など、目上の立場の人に反対意見を言うときには、柔らかい表現を使いつつ、自分の主張を伝えることが求められる。

紹介するクッション言葉は、どれも相手を尊重している表現を集めた。相手の意見をまず受け止め、そこに自分の意見をつけ加える、という感覚だ。相手は「否定された」と感じることなく、あなたの意見に耳を傾けてくれるはずだ。

19僭越(せんえつ)ながら

例文「僭越ながら、私の意見を申し上げてもよろしいでしょうか」

20おっしゃることはよくわかるのですが/ごもっともですが

例文「おっしゃることはよくわかるのですが、当社の規定ではむずかしい状況です」

21重々(じゅうじゅう)お察ししますが

例文「ご事情は重々お察ししますが、これ以上の値引きは弊社としてはいたしかねます」

22ひとつだけよろしいでしょうか

例文「ひとつだけよろしいでしょうか。締切に関してだけは、前倒ししたほうが良いかと存じます」

23あえてつけ加えるなら

例文「素晴らしいアイデアです。あえてつけ加えるなら、〇〇というのはいかがでしょうか」

24ご無礼を承知で申し上げますと

例文「ご無礼を承知で申し上げますと、今回の仕様変更に関しては、同意できかねます」

25申し上げてもよろしいでしょうか

例文「私の意見を申し上げてもよろしいでしょうか。私は〇〇と思います」

クッション言葉の使いすぎに注意

クッション言葉の誤用や使いすぎには気をつけたい。よくやってしまうのは「申し訳ございませんが」の乱用だ。謙遜するあまり、謝る必要はないのに使う人が多い。謝罪のときも、失礼かもと感じているときも、相手の気持ちを考慮している伝えたいときにも、使う。「申し訳ございませんが」に多くの意味を込めすぎだ。

メールを送るときにも注意したい。メールでは表情も声色も伝わらない。用件だけでは物足りないと感じ、クッション言葉を詰め込む。丁寧に表現するのは大切なことだが、読み直してみると「恐縮ですが」が何度も登場している、なんてことが起こる。

会話では気にならない程度でも、文章にするとわずらわしい。メールは必ず読み返し、クッション言葉が多すぎないか見直したい。

言いにくいことを電話で伝えるクッション言葉【25例文付き一覧表】