海外出張や海外駐在が身近なものになった。あす、とつぜん会社から「ちょっと海外に行ってきてくれる?」と言われてもおかしくない。
困ったものだ。仕事だから断るわけにはいかないし、初めての海外出張だからといっても失敗は許されない。さて、どうしよう。
出発前の準備から滞在先での過ごし方まで、初めての海外出張でも快適に過ごせるコツ、便利に使えるアイテムを紹介する。
mokuji
海外出張の荷造りと準備のポイント
1風呂敷で荷物をカテゴリー別に分ける
スーツケースに入れるときは、重いもの、固いものが下のほうに、軽いもの、柔らかいものは上にくるように配置する。荷物は下着、洋服、洗面用具などのカテゴリー別に分け、風呂敷で包むのがポイントだ。
シャンプーや化粧品などの細々としたものは小物ケースに入れる。スーツケースが大カテゴリー、風呂敷が中カテゴリー、小物ケースが小カテゴリーのイメージだ。スーツケースの中で荷物が混ざるのを、風呂敷が防いでくれる。
ホテルに着いたら、風呂敷ごと戸棚に入れる。風呂敷を敷きその上に並べれば、汚れやキズから洋服を守れる。
2持っていく洋服は靴を選んだあとに決める
海外出張の荷造りで悩むのは洋服の準備だ。欧米のビジネスパーソンは身だしなみにうるさいイメージがあるため、あれこれと持って行きたくなるのだ。だが心配いらない。最低限のTPOを意識できれば大丈夫だ。
洋服の準備は靴を決め、その靴に似合う洋服を選ぶといい。出張期間が1週間程度なら、オフ用のスニーカーと仕事用のドレスシューズの2足があればいい。
出張先で足を痛めると辛い。履き慣れた靴を持って行こう。オシャレは足元からだ。ドレスシューズはぴかぴかに磨いておくこと。
とくにこだわりがなければ、ドレスシューズは黒のストレートチップが無難だ。オフィシャルな場に招かれても問題ない。ドレスシューズに合うスーツとジャケパンを1式ずつ用意しよう。
出張先のTPOを事前に調べておくことだ。海外にはスーツを着ていると浮いてしまう地域がある。
海外出張のスーツケースを選ぶコツ
3スーツケースは目立つ色を選ぶ
1週間程度の出張では、機内持ち込み可能なサイズのスーツケースで大丈夫だ。荷物は少しでもコンパクトなほうがいい。つねにそばに置いておけるため、盗難防止になる。スーツケースはハードタイプのものが耐久性があり、おすすめだ。
スーツケースを選ぶときは、軽さにも目を向けよう。空港内を移動したり、タクシーに載せたりするときに持ち運びやすいからだ。
スーツケースの色は目立つ色がおすすめだ。手荷物を受け取るとき、ターンテーブルの中から自分の荷物が見つけやすくなる。黒などのありきたりな色では、他人の荷物と間違いやすくなるため、ロストバゲッジの原因にもなる。
4アフターサービスが充実しているメーカーを選ぶ
スーツケースは、修理サービスの整ったメーカーのものを選ぼう。到着空港によっては扱いが乱暴なことがある。スーツケースを受け取ったら、車輪が外れていたり、ボディーの一部が欠けていたりする。
アフターサービスが充実しているメーカーでは、連絡をするとすぐに対応してくれる。安心だ。
海外出張のこれだけは忘れてはならない必需品!
5必要な情報を書いた紙のメモを持っていく
出張先で必要な情報をパソコンやスマートフォンで管理する人が多い。注意したいのはクラウドサービスに保管している場合。電源やネット環境を確保できなければ、アウトだ。先進国でも、ネット環境が整っているどうかは現地に着いてみないとわからない。
対策としては、ポケットWi-Fiを準備すること。万が一に備えて、重要な資料や情報はプリントアウトしておくことだ。パスポート番号やホテルの名前、場所、連絡先は紙に書いておこう。
海外では、スーツケースやパスポート、スマートフォンが盗まれるかもしれない。いざというときのために、デジタルとアナログの併用をおすすめする。
飛行機での長距離移動を快適に過ごすコツ
6機内にリラックスできるアイテムを持ち込む
意外と見落としがちなのが、機内やホテルでリラックスするためのアイテムだ。機内はかなり冷えるので、カーディガンやストールなど、防寒具を忘れず持ち込もう。
スリッパも必須品だ。機内でも簡易スリッパは用意されているが、はき心地はよくない。滞在先のホテルでも使えるので、柔らかいスリッパを持っていくのがおすすめだ。
疲れを溜めないためにも、睡眠をコントロールできるアイテムが海外出張では重要だ。普段使っているものがあるなら忘れず持って行こう。眠れそうにない人は、事前に睡眠導入剤を処方してもらうのもいいだろう。
7早朝着は眠る。夕方着は起きておく
搭乗したときから体内時計を現地の時間に合わせる。体調管理のためだ。夕方に到着する便では、ホテル到着後そのまま休めるため、機内では自由に過ごせる。本を読んだり、映画をみたりしてリラックスしよう。
午前着の便では、到着後に仕事が控えている。機内ではしっかりと休息をとろう。搭乗後すぐにラフな格好に着替えるのもいい。食事は軽めに済まし、早めに眠る。到着後に元気で過ごすための最適な選択だ。
8機内では脳を休ませる
海外出張で重要なのは現地で最高のパフォーマンスを発揮することだ。移動中はなるべく脳を休めたい。便利なのは「ノイズキャンセリング付き」のヘッドフォンだ。機内の騒音をシャットアウトできるため、ぐっすり眠れる。映画をみるときにも活躍する。
チケット代がそれほど変わらないなら、日系航空会社がおすすめだ。日系航空会社では、トラブルが起こったときも日本語が通じる。初めての海外出張ではナーバスになるものだ。少しでも心配事は少ないほうがいい。
日系航空会社では、映画も日本語に対応していることが多い。英語が話せたとしても、母国語以外では脳はフル回転し、疲れてしまう。少しお金を払うだけでゆっくりと休めるなら、安いものだ。
9上司のとなりには座らない
機内ではゆっくりと過ごしたいものだが、日本人のビジネスパーソンは仕事をしている人が多い。とくに行きの便では、到着後に仕事が控えているため、機内にはぴりぴりとした空気が満ちている。
上司との出張の場合には、座席を離すことだ。可能なかぎり離れたい。となり同士では、上司が仕事をしているとゆっくり休めない。お酒を飲んでいても、気が休まらない。どっちにしても疲れるのだ。
海外出張での移動のコツ
10配車サービス「Uber」が便利
アメリカ出張では欠かせない「Uber」。「Uber」はスマートフォンのアプリで、近くにいるハイヤーを検索できるサービスだ。入札制で料金がもっとも安いハイヤーを選べるため、タクシーより安いこともある。「Uber」はアメリカ以外にも、全世界に広がりつつある。「Lyft」という同様のサービスも登場している。
海外には治安のわるい地域がある。深夜や、治安の悪い街では乗らないよう気をつけよう。
11グループでのスリに気をつける
海外では、数人のグループでのスリに注意だ。現地の人に話しかけられ、そちらに気を取られているうちに、もうひとりがバッグを盗もうとする。
タクシーに乗っているときも気が抜けない。信号待ちのあいだにドアをあけバッグを盗むという手口がある。タクシーの運転手がグルの場合もある。乗ったらすぐに鍵をかけることだ。
滞在先のホテルで快適に仕事をするコツ
12日本と同じ仕事環境を整える
日本にいるときと同じ環境にするのが、快適に仕事をするコツだ。仕事道具は使い慣れたものを持ち込もう。会社のデスクに家族の写真を置いているなら、持って行くといい。いつも通り仕事をこなせるはずだ。
パソコンなどの仕事道具を貸してもらえるホテルもあるが、使い慣れないパソコンでは効率が悪い。できるだけ普段と同じ仕事環境を整えよう。
13ホテルのコンシェルジュを頼る
サービスの充実しているホテルにはコンシェルジュがいる。日本ではそれほど馴染みがないが、宿泊客に各種サービスを提供してくれる。ありがたい存在だ。
ホテル周辺の郵便局やコンビニなどの場所を教えてもらえる。プリンターやファックスを貸してくれたり、チケットの手配をしてくれたりと、たいていのわがままは聞いてくれる。
海外出張でおいしい食事をするコツ
14レストランはInstagramやtwitterで探す
海外出張の楽しみのひとつが食事だ。せっかくなら、現地の人が行くレストランでローカルフードを食べたい。ローカルなお店は地元の人に聞くのが一番だ。ホテルのコンシェルジュに聞いてみよう。
Instagramやtwitterのハッシュタグ検索も使える。「#都市名 food」で検索すると、料理の名前やお店の場所が表示される。食事に必要な情報が入手できる。
アメリカ版の食べログ「yelp」もおすすめ。便利な口コミアプリだ。食事以外にも、観光スポットを調べてみてもいい。現地でしか得られない情報は多いのだ。
15現地の食事に飽きたら中華を食べる
毎日、その土地の食事ばかりでは飽きる。とくに洋食が続くと、胃がもたれる。出張先での疲れも溜まってくるからなおさらだ。翌日の仕事や観光に響くのは避けたい。
そんなときはアジア料理がおすすめだ。中国、タイ、ベトナムなどの料理は世界のどこでもいても食べられる。どの国でもそれなりにおいしい。あっさりからこってりまで料理の種類も豊富だ。
避けたいのは和食だ。和食風のお店はたくさんあるが、食べてみるときっと後悔する。和食は日本に帰ってから食べよう。
海外出張で観光を楽しむコツ
16ガイドブックで全体を把握してからネット検索で調べる
海外出張では観光の時間は限られている。時間は有効に使いたい。観光地探しには、紙の地図が載っているガイドブックがおすすめだ。大判の地図があれば、その街の全体像を把握できるからだ。写真が大きく扱われている「るるぶ」などの大判のガイドブックは、旅のワクワク感を高めてくれる。
だいたいの観光ルートが決まったら、もう少し情報量の多いガイドブックでさらに詳しい情報を集める。「地球の歩き方」は口コミ情報も多いので便利だ。
ネットは興味のある観光地の情報をピンポイントで集めるのに適している。全体を把握したいときにはガイドブック、個別情報はネット検索と使い分けよう。
17仕事の帰りは現地のスーパーに寄る
観光地を巡るのも楽しいが、地元のスーパーも魅力たっぷりだ。仕事の帰りにでも寄ってみよう。現地の人の生活に触れることができるし、そこでしか手に入らないものもある。日本のメーカーのご当地バーションのお菓子や、ハラール認証のため日本とは成分の違う調味料など、お土産にもぴったりだ。商品のパッケージを見ているだけで楽しめる。
海外出張でのお土産選びのコツ
18日本では手に入らないものを選ぶ
お土産選びには悩むものだ。せっかくなら日本では買えないものを選びたい。
スポーツのシーズン中なら、出張先の街のチームの、その年限定のグッズが買える。アメリカにはメジャーリーグやNBAのチームが各州にあるし、ヨーロッパにはぞれぞれの街に地元のサッカークラブがある。チームグッズをお土産にすると、その街に興味を持ってくれるだろう。
有名企業のグッズもおすすめだ。アップルの本社やスターバックスの第一号店など、そこでしか扱っていないTシャツ、文房具、タンブラーなどが手に入る。きっと喜んでもらえるはずだ。
19お土産は相手を思って選ぶ
海外の食べものには珍しいものが多い。お土産に買っていきたいと思う人も多いはずだ。ただ、独特の匂いや味の食品もたくさんある。珍しいものをもらってうれしいかは、その人次第だ。
親しい友人なら、ネタっぽいお土産も笑って受け取ってくれるが、迷惑だと思う人もいることを覚えておきたい。自分で食べておいしかったものを選ぼう。
現地でバラ売りしているお菓子は避けたほうがいい。衛生面を気にして食べられない人もいるからだ。食べ物をお土産にするなら、個別に包装されたものを選ぼう。ちょっとした気づかいが喜ばれる。
知っておきたい!海外出張の常識
20ロストバゲージしたらどうする?
到着ロビーの担当者に伝え、対応を確認する。すぐに荷物を確認できるよう、出発時に渡されたバゲージタグを失くさず持っておこう。
プレミアムエアラインではこうしたトラブルにも丁寧に対応してくれるが、LCCでは言葉が通じないと対応を後回しにされ、長時間待たされることもある。英語が通じにくい国では、LCCを利用しないというのもひとつの防衛方法だ。
21パスポートを失くしたらどうする?
すぐに領事館に連絡する。領事館の連絡先はホテルで教えてくれる。あるいは、クレジット会社のサポートセンターに電話すれば、どうすればいいかアドバイスがもらえる。
基本的には、パスポートの再発行までに数日かかるが、事情によっては緊急で対応してくれることがある。パスポートの番号がわからないと対応のしようがないため、番号はどこかへ控えておこう。
22ケガをしたり風邪をひいたらどうする?
ホテルのフロントに電話すれば、ホテルが提携する病院で診察してもらえる。医療費の支払いにはクレジットカード付帯の医療保険が使える。クレジットカードで全額を支払い、領収書をもとにあとで清算する方法だ。サポートセンターに連絡すれば丁寧に教えてもらえる。
23ビザの取得はどうする?
出張先にビザが必要な場合、基本的には会社の総務が手配してくれる。ビザの取得には数ヶ月かかることもあるため、個人の場合は早めの準備を心がけたい。
オンラインでビザを取得できる国も増えてきたが、手続きが複雑なケースがある。日程が迫っているときは、代行業者に依頼しよう。ただし、対応が不親切な業者には要注意だ。その国の移民局からライセンスを受けている業者を選ぶと間違いない。
初めての海外出張は、とまどうことばかりだ。仕事の心配もつきない。きちんと準備をしたつもりでも、思いがけないトラブルが起きる。早く帰りたいと思うかもしれない。
だけど、そんなどきどきした気持ちを味わえるのも海外出張だからこそ。いつかきっと、その経験はいい思い出になる。