すぐやる!先延ばし癖を直す7のモチベーションアップ法

すぐやる!先延ばし癖を直す7のモチベーションアップ法

先延ばし癖のある人は自分の置かれている状況をよく理解している。いますぐやったほうがいいのはわかっているけれど、なかなか手をつける気が起きなかったり、やる気が出てこなかったりするのである。他の人とはエンジンがかかるタイミングが少しズレているのだ。

しかし、そういう性格だからと放っておくと仕事は溜まっていく。あとあとしんどい思いをするし、まわりの人にも迷惑をかける。やっぱり先延ばし癖は直すべきなのである。

すぐやる人になれるモチベーションアップ法を7つ紹介する。

1やる気の出る言葉をよく見る場所に貼る

普段、見ているものが人の無意識に働きかけ、モチベーションを呼び起こす。このことは心理学の研究で証明されている。

時計を見ると目に入るポスターの標語、キーボードで文字を打っているとき視界に入る卓上カレンダーの文字などが、意識していなくても僕らの心に入り込んでくる。気づかないうちに、僕らの行動はその言葉の影響を受けるのである。

たとえば「努力」と書かれたものを見えるところに貼っておくと、本当に努力できるようになる。受験生が「絶対合格!」と紙に書いて壁に貼るのも、会社が「売り上げアップ!」の張り紙を社員が見える場所に貼るのも、単なる根性論ではない。本当に効果があるのである。

この方法は先延ばし癖にも効果が期待できる。「すぐやる!」と紙に書いて、よく見える場所に貼っておくのである。言葉の効果が無意識に作用して「すぐにやる人」に変わっていけるのである。

2内発的と外発的のふたつの動機はバランスが大切

人が行動を起こしたり、決心したりするきっかけには内発的なものと外発的なものがある。内発的な動機とは、達成感、充実感、仕事に対する愛など、自分の感じていること、思っていることである。外発的な動機とは、お金、地位、名声など、外から与えられるご褒美を期待して勉強をしたり、仕事をしたりすることである。

2000年代までの心理学では、内発的な動機はよいもの、外発的な動機は悪いものだと言われていた。この考え方を都合よく解釈して人件費を抑えるために利用しているのがブラック企業である。「働けるだけで満足しなさい、お金をもらえなくても我慢しなさい」と社員を押さえつけているのだ。

しかし実際には、収入や地位、出世などの報酬が仕事のモチベーションになっている人も多い。よって現在では、ふたつの動機のバランスが大事だと考えられている。

内発的な動機と外発的な動機には相乗効果がある。 お金のために仕事をはじめ、専門的な知識やスキルが身につき、自分が成長していることを感じ、仕事が楽しくなってくる、という変化が起こる。これは外発的な動機から内発的な動機に変わっていったということである。

3他人と自分を比べない

先延ばし癖を直す何よりの薬は「自分はできる!」という自信である。僕はできる人間なんだ、と自分の存在を認めてあげられるようになると、その気持ちがやる気を高め、仕事を進める力になる。反対に「自分には無理かも……」と感じると仕事の手が止まってしまう。

自信をつけるには、他人と自分を比べないことである。まわりの人を意識しはじめると、どうしても劣等感が生まれる。「勉強はできるけれど、運動はできない」「人とのコミュニケーションは得意だけど、数字が苦手」など、人には長所と短所がある。勝ったり負けたりする。だけど欠点ばかり目についてしまうのである。他人より劣っていると感じてしまうのだ。

比べる相手は過去の自分である。去年できなかったことが今年はできるようになった、という自分の変化、進化を感じることが自信につながる。自分は「成長している」と実感することで喜びを感じ、仕事に取り掛かるモチベーションになる。そして先延ばし癖を直すきっかけになるのだ。

仕事でも、過去の自分と競い合った結果、いつの間にかライバルを追い抜いていたというのが理想である。

4先読みの習慣をつける

すぐやる人は、これから起こることや、このままだと自分がどういう状況になるのか、そのときどんな気持ちになるのかということを想像して危機感を持てる人である。先延ばし癖のある人は、先読みはできるけれど、できるかぎり考えないようにしている人である。のちのち後悔することはわかっていても「やりたくない」「めんどう」という感情には逆らえないのだ。

先延ばし癖を直すには、先延ばしするとどういう結果が待っているのかを想像することが大切である。たとえば、仕事を先送りすると残業が増える、上司に怒られる、評価が落ちるなどが起こる。一時の感情で仕事を先延ばしすることが、自分の未来を損失させることがわかると頑張ろうという気持ちになる。危機感を覚え、お尻に火がつくのである。

先読みの習慣をつけると自分の感情をコントロールできるようになる。そして自分に自信が持てるようになるのだ。

5ゲーム感覚で仕事にやりがいを見つける

先延ばしをする理由のひとつは、やりがいを感じられないことである。「いまやっている仕事にはなんの意味があるのだろう?」と感じていると、仕事に手をつける気が起きない。目の前の作業に意味がないと思っているから後回しにするのである。

ではどうすればやりがいを見つけられるのか。それは制限時間を設けることである。仕事に「いつまでに終わらせる」という設定をつけるだけで、その期間内に終わらせるというモチベーションが生まれる。

スマートフォンのゲームには、〇〇分以内に何個のアイテムを集められるかというものがある。単調な作業を繰り返してハイスコアを目指すゲームだ。やっている作業自体は驚くほどつまらないのに、多くの人がハイスコアを目指しゲームに熱中する。

制限時間があることがゲームをおもしろくしているのである。もし時間の制限がなかったとすると、つまらない作業をやらされるだけになる。まったく楽しめない。

これは仕事にも応用できる。書類をホッチキスで止める、印刷物を用意するなどの単調な仕事の場合は「〇〇分で終わらせるとゲームクリア」という制限時間を設ける。ほとんどゲームと同じである。

営業の人は「〇〇時間で〇〇件訪問する」でもいいし、「〇〇時間で〇〇件契約をとる」でもいい。「訪問先でコーヒーを出してもらえるとクリア」も楽しめそうだ。デスクワークでは「次に部長が席を立つまでに資料を渡す」なども不確定要素があっておもしろいかもしれない。

6小さな成功体験を繰り返す

先延ばし癖のある人でも「成長したい」という強い気持ちを持っている人は多い。成長したいと思っているのに先送りしてしまうから悩むのである。自分自身を高めたいという欲求が他の人より大きいのかもしれない。良いことだ。

こういう人は、成長できる仕事、責任のある仕事を任されるとモチベーションが高まる。反対につまらない仕事、単調な仕事ではやる気が起きず、先延ばししてしまう。自分の成長を実感できないことがやる気が起きない原因であり、先延ばしの原因なのである。

先延ばし癖を直すには、小さな成功体験を積み重ねることが大切である。成長を実感できるのは「できなかったことをできるようになったとき」である。大きな仕事では失敗のリスクが高いし、時間のかかる仕事では途中で挫折しやすい。失敗はモチベーションを下げて自信を喪失させる。

仕事をできるかぎり細分化することで、失敗のリスクも挫折のリスクも下げることができる。毎日の小さな目標を設定するのである。「今日の仕事はここまで」と区切り、それをクリアすることで毎日の成長を実感できる。

毎日少しずつでもハイスコアを更新できるとうれしいのだ。

7マイナスの出来事に対して感情的に反応しない

先延ばし癖は「ほめて育てる」という教育の弊害でもある。打たれ弱い人が増えているのだ。

仕事で大きな失敗をしたり、上司に強く叱られたりしたときに気分が落ちてしまうのは誰しもあることだ。しかし打たれ弱い人はちょっとした失敗や、上司のささいな指摘など、少し自分の思い通りに進まないだけでやる気をなくし、仕事を放り出してしまう。

実力主義といわれる外資系の企業では、ほめることによる弊害も少ない。結果を出さないとクビが寒くなるからである。

しかし、日本の企業は違う。終身雇用時代とは変わってきているといっても、雇用は安定している。少しくらい仕事をサボったとしても、クビになる可能性は低い。この「ぬるま湯体質+ほめて育てる教育」が甘えを生じさせる。打たれ弱い人を増やし、先延ばし癖を育てるのである。

打たれ弱い人は、出来事への対応方法を変える必要がある。何か起こったとき、どのように反応するかということだ。

打たれ弱い人はものごとに対して感情的な反応をすることが多い。悪いことが起こったときには「もうダメ……」「この仕事は向いていないのかな……」などと考えてしまう。モチベーションが下がり、仕事が手につかなくなる。

対して打たれ強い人は、マイナスの出来事が起こったとき、「どこが間違っていたのかな」「なにかできることはないかな」などと考える。状況を冷静に分析できるのである。マイナスの出来事をプラスの方向に持っていくことを優先し、自分の感情は二の次なのだ。状況に対して客観的な対応ができるのである。

感情的な反応がダメで、分析的な反応が優れているというわけではない。出来事によって使い分けることが大切なのである。マイナスには分析で、プラスには感情で対応すると心を乱されなくなる。

仕事で結果を出した、プロポーズに成功したなど、プラスの出来事が起こったときには感情でめいいっぱい反応すればいい。そのほうがよっぽど人間らしいし、まわりも楽しい気分になれる。よい結果になったのは「〇〇と〇〇を実行したからである」と冷静に分析されても対応に困ってしまう。ようは使い分けなのである。

先延ばし癖のある人は、わざと仕事をサボっているのではなく、仕事をはじめるタイミングと自分のやる気をうまく合わせられないのである。自分にぴったりのモチベーション法を見つけることで、先延ばし癖は直るのだ。

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