接続詞とは、文と文のあいだに置き、次の文にどのように展開していくかを示す品詞だ。読み手を思い通りに誘導するのに便利な反面、多用すると文章が読みづらくなる。多くの作家が推敲のときに使い方を悩み、修正を繰り返すという。
ビジネスメールなどの社会人の文章は「事実」と「意見」を分けて書くことが求められる。主観と客観が混ざった文章は正確さに欠け、読み手の判断を鈍らせる。事実はそのまま伝えるのが鉄則だ。
どうすれば読みやすい文章が書けるのか。接続詞の使い方を説明する。
接続詞の働き
接続詞の働きは次の4つに分類できる。
- 理論 前後の文脈の因果関係を明確にする 例:だから、しかし
- 整理 長くて複雑な内容を整理・分類する 例:そして、一方、つぎは
- 理解 足りない情報の補足を予告する 例:つまり、たとえば、なぜなら
- 展開 話題を切り替えたりまとめたりする 例:さて、こうして
文章を書いていると、次の文にどのように展開していくか悩み、手が止まることがある。そのとき接続詞を考えると、文章の方向性が定めやすい。
接続詞の多用は禁物
文章の方向性を示すため、つい接続詞を使いたくなるが多用は禁物だ。下の例文を見てほしい。
断食には健康を増進する効果があるとされる。
しかし、即断は禁物である。なぜなら、ビタミンなど、人間の体内で生成できない栄養素も存在するからだ。また、断食期間中に脂肪をエネルギーに変える際に悪性の物質が生成され、中毒症状を起こす場合もあるという。
それでも、断食に効果があるとされるのは、断食をすると食べ物のありがたみを感じ、野菜を中心とした軽い食事を摂取したくなるからではないか。つまり、断食は食習慣を見直すきっかけとなるため、健康を増進すると考えられるようになったのかもしれない。
「接続詞の技術」の技術(石黒圭著)
全体で6文しかないが、「しかし」「なぜなら」「また」「それでも」「つまり」の5つの接続詞がある。
接続詞が多過ぎると、ひとつひとつの役割があいまいになる。この例文で省くと違和感のある接続詞は、「しかし」と「それでも」のふたつだ。他はなくてもかまわない。
逆接の接続詞をなくすと、文と文がつながらない。読み手は急に話題が変わったと感じるため、省くのはご法度だ。
接続詞は約10文にひとつが適切
接続詞の使用率は、論文では約4文にひとつ、新聞の社説では約10文にひとつの割合だという。論文では、相手を説得しようとするため、接続詞が多くなる。わかりやすい文章を書きたいなら、新聞の使用頻度をまねるべきだ。
接続詞を使うときの注意点
接続詞を文章に挟むことで、書き手の主観が入る。次の2つの例文を見比べてほしい。
私は毎日一生懸命に練習して大会に臨んだ。だから、20人中4位になった。
私は毎日一生懸命に練習して大会に臨んだ。しかし、20人中4位になった。
上の文には「期待通りの4位だった」という書き手の主観が入っている。下の文には「もっと上位を狙っていたが、残念ながら4位だった」という主観が含まれている。そのように、どの接続詞を選ぶかによって文章の印象は大きく変わる。
ビジネスメールなど、事実をそのまま伝えたい場合は、接続詞はできるだけ入れないようにしたい。