京都アニメーション放火事件を徹底追跡!犯人意識戻るが動機いまだ不明

京都アニメーション放火事件を徹底追跡!犯人意識戻るが動機いまだ不明

京都アニメーション第1スタジオで火災が起きた。2019年7月18日、日本アニメの聖地が黒い煙に包まれた。テレビではショッキングな映像が繰り返し映し出された。

死者34人、重軽傷者34人。平成以降で最悪の放火事件だ。ツイッターには驚きや悲しみほか、さまざまな感情が入り混じった書き込みが溢れた。

京都アニメーション(京アニ)は日本有数のアニメ制作会社だ。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』、『けいおん!』など、数々のヒット作がある。それら作品を生み出した、優秀なアニメーターたちが命を落とした。

犯人・青葉真司は全身やけどで予断を許さない状況だ。いまだ動機は明かされていない。

京都アニメーション火災に関する新聞・週刊誌の7/26までの情報をまとめた。最新情報はすぐ下に追記していく。

京都アニメーション放火事件・最新情報 8/14更新

7/27追記:京都府警は27日、重篤状態だった20代の男性スタッフが入院先の病院で亡くなったと発表した。犠牲者は35人になった。重軽傷者のうち、まだ10人が入院している。

7/29追記:京都アニメーションは29日、第一スタジオで焼損を免れたサーバーからデータが回収できたことを明かした。回収したデータにはデジタル化された原画などが含まれている。サーバーは四方をコンクリートに囲われた1階の部屋にあった。火災や、消火活動による水の影響を受けなかった。

7/30追記:京都アニメーションの代理人弁護士は30日、青葉真司容疑者と同姓同名で、住所も一致する小説の応募があった事実を確認したことを明かした。作品は1次審査で落選している。同社代理人は「京アニ作品との類似性はないと確信している」と述べた。

8/1追記:5ch掲示板に2018年9月〜11月、「京アニに原稿を落とされた」「アイデアを盗まれた」といった内容の書き込みが続いていたことが31日、わかった。「無差別テロ」「爆発物もって京アニ突っ込む」など、危害を加える書き込みもある。書き込みが同一人物によるものかは不明。京都府警も把握している。青葉容疑者が拘束時に話していた内容と共通する部分があるため、関連を調べている。

8/10追記:青葉容疑者の症状が良くなってきたことが9日、わかった。看護師の呼びかけに答えるそぶりを見せたり、目を開いたりしている。ただし、症状が重いことに変わりはなく、逮捕の見通しは立っていない。

京アニ放火殺人、青葉容疑者が呼び掛け応答 病状改善か – 京都新聞

8/14追記:京都府警捜査本部は14日、事件当時に従業員がいた場所を明らかにした。事件当日、第一スタジオには20〜61歳の従業員が70人出勤していた。3階で27人、2階で11人、1階で32人が働いていた。

死傷者がもっとも多かったのは3階で、27人のうち20人が亡くなった。20人は屋上に向かう階段で、折り重なるように倒れていた。7人は、2階に降りてベランダから飛び降りるなどして助かった。2階では11人、1階では4人が亡くなった。

また、負傷者がひとり増えて34人になった。死傷者数は計69人(うち死者35人)。無傷で助かったのは1人だけだ。

京アニ、被害者の在席フロア判明 3階で20人が死亡 – 京都新聞

8/17追記:京都アニメーションは17日、同社の専用口座に寄せられた義援金が16日午後3時時点で7万1984件、計19億9761円に上ったと発表した。義援金のうち、1万円以下は5万6631件(構成比は78.7%)。

個人が直接入金したケースに加えて、アニメ関連会社『アニメイト』など企業が募金を募り寄付した金額も含まれる。海外のクラウドファンディングと合わせると総額で20億を超えた。

京アニ寄付、海外含め20億円超…1件1億円も – 読売新聞オンライン

8/18追記:青葉真司容疑者と同姓同名で住所電話番号も一致する人物が、2点以上の小説を京アニに応募していたことが18日わかった。

捜査関係者によると、応募作品は京アニの作風を意識した学園もの。小説として読める内容だという。

青葉容疑者、「学園もの」小説応募 動機解明のカギに – 日本経済新聞

8/19追記:京都アニメーションは19日、第一スタジオ近くに設けている献花台を25日に撤去すると明かした。放火事件より1ヶ月の節目を迎えたためと理由を説明した。

京アニ、現場近くの献花台25日で終了 – 産経新聞

京都アニメーションとは

京都アニメーションのロゴ

京都アニメーション(京アニ)は、手塚治虫氏の設立した「虫プロ」出身の八田陽子氏(元社長八田秀明氏の妻)が京都への引越しを機に、女性アニメーターらと立ち上げたアニメ制作会社だ。1980年代に設立した。設立当初はジブリなど大手制作会社の下請けを行なっていた。90年代からは自主制作を始めた。2006年に「涼宮ハルヒの憂鬱」が大ヒット。その後も数々のヒット作品を世に送り出した。アニメファン以外にもその名を広く知られるようになった。

京アニは作品の質に徹底してこだわることで有名だ。風景描写から戦闘シーンに至るまで細部を丁寧に描く。ダイナミックな動きだけではなく、体のわずかな動きや表情の変化で微妙な感情を表現する。アニメファンからは京アニクオリティーと称される。会社の名前自体がブランドになっている。

京アニクオリティーを維持するのは所属する優秀なスタッフたちだ。京アニに入社するのはむずかしいと言われる。募集要項によると、入社までには3度の審査をパスする必要がある。このため、京アニには全国から優秀なクリエイターが集まる。ジブリを蹴って京アニに入社する人もいるほどだ。京アニを退社した人は、他のアニメ制作会社の争奪戦になる。

また、京アニは育成にも力を入れる。アニメ制作会社は作業の一部を外注することも多いが、京アニはすべての作業を自社で行うことが多い。スタッフを正社員として雇用することで、それまでのテレビアニメでは表現できなかった精密な絵を丁寧に描けるスタッフを育ててきた。その実力は質量ともに国内では三指に入る。

京アニは従業員に優しい会社でもある。社屋内には託児スペースもある。会社設立の経緯からも、女性の社会進出の先駆けともいえる会社だ。現在でも女性社員が多く、業務委託や契約社員が多い業界にあって、ほどんどの従業員が正社員として働いている。

「いつか世界一のアニメを作りたい」。京アニにはそういう夢をまじめに追う人たちが集まってくる。情熱があり、そして夢を実現できる技術力も持っている。スタッフのひとりひとりが日本アニメ界の宝。京アニは日本が世界に誇るアニメ制作会社なのだ。

京都アニメーションホームページ

京アニの主な作品

京アニは設立以降、多くのアニメファンの心を掴んできた。放送の翌日は、日本中が「あーだ、こーだ」と盛り上がった。『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』、『けいおん!』など、数々のヒット作がある。NHKでは「響け!ユーフォニアム」が放送された。映画「聲の形」では第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した。

・ アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』 2006年・石原立也監督
・ アニメ『らき☆すた』 2007年・山本寛監督・武本康弘監督
・ アニメ『けいおん!』 2009年・山田尚子監督
・ 映画『けいおん!』 2011年・山田尚子監督
・ アニメ『氷菓』 2012年・武本康弘監督
・ 映画『聲の形』 2016年・山田尚子監督

京アニ放火事件・発生から犯人確保までの流れ

青葉真司容疑者は7 月18日午後10時ごろ、アニメ制作会社「京都アニメーション(京アニ)」第1スタジオに侵入した。同容疑者は「死ね!」と叫びながら1階にガソリンをまき、多目的ライターで火をつけた。体に直接ガソリンを浴びせられた従業員もいる。

爆発音とともに火はとんでもない速さで燃え広がった。鉄筋コンクリート作りの3階建のビルは、燃え盛る炎と黒い煙に包まれた。わずか1分足らずの犯行だった。

青葉容疑者は現場から逃げた。本人も全身やけどを負っていた。同容疑者は、現場から南に100mほど進んだ住宅街の道路脇で仰向けに倒れこんだ。

目撃した住人によると、青葉容疑者は髪はちりちりで、Tシャツやジーンズは焦げてた。靴は履いていなかった。腕の皮がめくれ上がり、ジーンズが破れてすねから下がむき出しだった。足の裏も真っ赤にやけどしていた。衣服から煙が出ていたため、近隣住民がホースで水をかけた。建物の溶けた塗料を浴びたのか、顔は青銅色だった。

容姿は短髪で、身長180cmくらい。お腹に刺青が入っていたとの話もある。

京アニの従業員は青葉容疑者を追いかけていた。駆けつけた京都府警伏見署の署員に「こいつが犯人だ」と引き渡した。

署員は動機を聞き出そうとした。青葉容疑者は怒ったように「小説を京アニが盗んだ」「パクりやがって」と言っていた。会社に恨みがあるような口調だった。

そして青葉容疑者は意識を失った。現在も意識不明の重体だ。これが供述と言える最後の言葉となっている。7月25日に意識が回復したが、まだ話せる状態にない。

京都府警は19日、事件の重大性を鑑みて、回復を待たずに放火容疑の男の本名が青葉真司(41)だと公表した。

京アニ放火事件・被害状況

青葉真司容疑者の凶行により、女性21人・男性13人の合わせて34名が死亡した。ほか34人が重軽傷を負った。被害者の年齢は20代から60代。半数以上が20代30代の若手だった。

死者のうち19人は煙と熱から逃れげようと試みたのか、屋上につながる階段で折り重なるように倒れていた。別のフロアでは、本人の特定が難しいほど損傷した遺体も見つかった。

現場の様子を、近隣住民はまるで地獄を見ているようだったと振り返っている。道路の白線には、建物から逃げ出した従業員の血痕と思しき赤色の足跡が生々しく残った。ひどい状況に涙を流す近隣住民もいた。

検視の段階では、死亡した34人のうち28人の死因は一酸化炭素中毒。ほか焼損の激しい5人の死因は、司法解剖で焼死とわかった。残りの1人は遺体の損傷が激しく性別もわからない。

その後の司法解剖の結果、死因は焼死が26人、一酸化炭素中毒が4人、窒息死が2人、全身やけどが1人、不詳が1人と発表された。治療中の34人のうち、3人は重篤な症状だ。

事件では過去の作画や資料などの多くが焼失した。だが、もっとも深刻なのは人的損失だ。同社は社員150人のうち4分の1ものスタッフを失った。

気がかりなのは京アニクオリティーと称される技術の継承だ。アニメの制作はアニメーター個人の技術に頼る部分が大きい。他から人を連れてくるとしても、データと引継書を渡しておわりというわけにはいかない。一般の企業とは違う。

技術はベテランから若手に受け継がれてきた。京アニはじっくりと人材を育て、最高の技術を持つ集団を作り上げた。そのタスキが途切れた。これは日本のアニメ業界にとって大きな損失だ。

生き残った人たちのケアも必要だ。なかには怖くて絵がかけなくなる人もいるかもしれない。アニメが見れなくなる人や、会社に戻れない人も出てくるだろう。

今後の作品にも影響が出る。夏公開予定だった劇場版『Free!』の最新予告編の公開はすでに中止が発表された。2020年1月にも公開予定作品があるが、先行きは見えない。作成中の原画はすべて焼失している。

事件の影響はアニメ業界全体に広がる。京アニは他のアニメ制作会社にも協力している。京アニ以外の作品にも影響がでてきそうだ。

京アニの経営悪化は避けられない。京アニの再建にはかなりの時間がかかるだろう。あるいは二度と経営状態には戻らないかもしれない。

京アニ放火事件・被害拡大の原因

京アニ側に落ち度はない。京アニは防火・防災に熱心な会社だった。2014年には京都市消防局から表彰を受けている。防犯訓練も定期的に行っていた。建物も十分な耐熱性を持っていた。多くのスタッフが机を並べて仕事をするという現場の事情もあるが、それを非難するのは違う。どこの会社も似たり寄ったりだ。

ガソリンは2リットルでも建物1棟分を焼失できるほどの威力がある。大量のガソリンで想定を超えた火災が起きた。それに尽きる。

炎は横に移動するより、縦に移動するほうが速い。ガソリンに引火して爆発が起きた後、黒煙はらせん階段を通じて瞬く間に2階3階に達したと思われる。

火災で怖いのは一酸化炭素だ。一酸化炭素を吸うと、まずは身体機能が低下する。次に意識障害が生じる。そして意識不明に至り、命を失う。健康な状態なら3階から屋上に逃げられたかもしれない。だが、中毒状態ではそれは叶わない。

京アニ放火事件・犯行の動機

青葉容疑者の意識は7月25日に回復したが、まだ話せる状態にない。同容疑者と京アニとの接点は明らかになっていない。

青葉容疑者の犯行が計画的だったのは明らかだ。現場付近には容疑者のものと思われる手さげカバンが残されていた。なかには数本の刃物と、ハンマーが入っていた。ガソリン以外にも複数の凶器を用意していた。包丁はむき出しの状態で、6本見つかっている。

現場周辺の下見もしている。犯行の数日前から、青葉容疑者と思われる人物が防犯カメラに映っているのが確認されている。事件前日に京アニ付近をうろついていたとの目撃談もある。

ガソリンは近くのスタンドで買っている。購入量は20リットル入りの携帯缶2缶分。定員には「発電機で必要」と用途を告げた。

同容疑者はまわりに怪しまれないように行動している。ガソリンの携帯缶などは、同じホームセンターで複数回に分けて買った。

京アニの八田秀明社長は、数年前から脅迫メールが匿名でいくつか届いていたことを明らかにした。それらのメールは作品に対する中傷で、たびたび警察に相談していた。だが、小説を盗んだといった内容はなかった。

テレビなど報道では、逆恨みが犯行の動機だという意見が有力視されている。青葉容疑者は意識を失う前に「パクられた」と警察に話していたのがその根拠だ。

ネット掲示板も逆恨み説を支持している。その理由はこうだ。

京アニが2015年に制作したアニメ『響け!ユーフォニアム』にでてきた「バリサク」というフレーズを「自分が考え出した」と繰り返し主張する人物が5ch掲示板にいた。その人物は事件の直前から掲示板に現れなくなった。その人物と事件との関連を指摘する意見だ。青葉容疑者の「パクりやがって」との発言とも当てはまる。

だが、逆恨みだったとしてもその対象が間違っている。京アニのほとんどの作品には原作がある。京アニはアニメ化の権利を持つ人、あるいは会社の注文を受けてアニメを作っただけだ。恨まれる理由はない。

京都府警は7月26日、青葉容疑者の住むさいたま市の自宅アパートを捜索した。段ボール5箱分の所持品などを押収した。押収物を調べて、動機を明らかにする考えだ。

戦後の主な放火事件

京アニ事件は、放火による火災の死者数では平成以降で最悪の大惨事だ。戦後の主な放火事件を表にまとめた。犠牲者が2桁を超える事件はほどんとない。

・ 昭和郷アパート放火事件 1957年 死者8人
・ 新宿西口バス放火事件 1980年 死者6人
・ 宇都宮宝石店放火殺人事件 2000年 死者6人
・ 武富士弘前支店強盗殺人放火事件 2001年 5人
・ 歌舞伎町ビル火災 2001年 死者44人
・ 奈良自宅放火母子3人殺害事件 2006年 死者3人
・ 大阪難波個室ビデオ店放火事件 2008年 死者16人
・ 大阪此花区パチンコ店放火殺人事件 2009年 死者5人
・ 豊川市一家5人殺傷事件 2010年 死者2人
・ 川崎市簡易宿泊所火災 2015年 死者11人

これらの放火事件は、動機が明らかになっているものと、不明なものがある。

16人の死者を出した2008年の『大阪難波個室ビデオ店放火事件』では当時46歳の男が逮捕された。

男は当初、次の供述をしていた。「会社をリストラされて多額の借金を背負った。生きるのが嫌になって火をつけた」

だが、公判では一転して無実を主張した。男は2014年に最高裁で死刑が決まった。現在は再審請求の審議中だ。

1957年の『昭和郷アパート放火事件』は火災保険金が目的だった。当時16歳の少年が起こした2006年の『奈良母子3人殺害事件』は家庭環境が原因だったとみられている。

犯行の動機がわかっていない事件もある。2001年の『歌舞伎町ビル火災』や、2015年の『川崎市簡易宿泊所火災』は放火の疑いが強い。だが、警察は犯人をまだ検挙できずにいる。事件名は「放火」ではなく「火災」になっている。

京アニ放火は事件の全容が明かされることを願う。

京アニ放火事件・募金活動がはじまる

京アニ作品は海外の評価も高い。今回の事件は、イギリスのBBCやアメリカのCNN、中国や台湾のメディアも大きく報じた。世界中の京アニファンを悲しませた。SNSには「「#pray for kyoani(京アニに祈りを)」などのハッシュタグが拡散した。

アニメファンにとっては京アニの第1スタジオの建物自体が財産だった。海外ファンのなかには、2019年4月に起きたノートルダム大聖堂の火災と重ねるコメントもあった。それほどショッキングな出来事だった。

支援の輪は国内外に広がっている。京アニの公式ツイッターには、日本だけではなく、英語や中国語など各国の言語で励ましや悲しみのメッセージが書き込まれている。

アメリカのアップル社ティム・クックCEOも哀悼の意を表した。「京アニのアーティストたちは数々の名作を通じて、世界中に世代を超えて喜びを広げてきた。心よりご冥福をお祈りいたします」。

海外では支援のためのクラウドファンディングも始まっている。日本のアニメ作品の海外配信を手掛けるアメリカのセンタイ・フィルムワークス社はすぐさまクラウドファンディングを立ち上げた。「Help KyoAni Heal(京アニの回復を助けよう」には19日現在、1億5000万円を超える寄付金が集まっている。25日には200万ドル(2億1000万)を突破した。6万2000件を超える寄付があった。

Help KyoAni Heal

Help KyoAni Heal – gofundme

こうした動きを受け、京アニは公式HPで支援金の受付口座を開設した。支援金は、亡くなった社員とそのご家族・ご親族や、療養中の社員とご家族・ご親族、および会社の再建に使う。収支報告を予定している。

京都アニメーション支援金預かり専用口座のご案内

支援金預かり専用口座のご案内 – 京都アニメーション

同口座は7月24日の午後6時に告知。25日午後3時時点で総額2億7000万円が集まっている。1万4000件を超える寄付があった。26日午後3時には、6億2000万円、2万9000件の入金があった。

Yahoo!も募金を始めている。T-POINTを使って1ポイントから募金できる。

京都アニメーション応援募金

京都アニメーション応援募金 – Yahoo!ネット募金

事件から1週間、被害にあった第一スタジオや近くの献花代には、ファンや近隣住民が途切れない。多くの人が花やメッセージを手向け、犠牲者の冥福を祈るとともに作品への感謝を伝えている。海外から訪れる人もいる。

京アニ作品が愛される理由

1990年代までは非現実な世界を描いた作品が主流だった。スタジオジブリ作品や機動戦士ガンダムにはじまり、新世紀エヴァンゲリオンあたりまでの作品はファンタジーやSFが多かった。宮崎駿監督や富野由悠季監督、庵野秀明監督といったアニメ界の巨匠がスケールの大きな作品を作った。

2000年代に入ると、深夜アニメが盛り上がった。ターゲットを絞った作品が作られるようになる。興味がある人にはドンズバで刺さる作品が次々と生み出された。こうした流れのなかで頭角を現してきたのが、京アニだ。

京アニはありふれた日常を綿密に描いた。登場人物は視聴者となんら変わらない普通の学生だ。自分と同じような生活を送り、同じような悩みを抱く彼女たちに、視聴者は自分を重ね、考えに共感し、行動を応援した。視聴者は彼女たちを身近に感じた。

この世界観はネット世代の若者に響いた。京アニはアニメを、どこか遠くの宇宙で繰り広げられる物語から、となり街で起こっている物語に近づけた。京アニの描くキャラクターたちはきらきらと輝く。気持ちの持ちよう次第で、彼女たちと同じようなきらきらした毎日が送れる、学校が楽しめると教えてくれた。「彼女たちの輪に入りたい」。視聴者はそう願った。

そしてそれは実現する。2000年代前半は、ユーチューブやニコニコ動画など動画投稿サイトの黎明期と重なる。アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』で流れたハルヒダンスを世界中のファンが踊り、その様子を投稿した。視聴者はアニメの世界に入ったのだ。新しい文化が生まれた。この文化はニュースにも取り上げられ、アニメの知名度を押し上げた。

京アニ作品には人々を行動させる力がある。『らき☆すた』は、アニメの舞台となった実在の場所をファンが訪れる聖地巡礼ブームの先駆けとなった。『けいおん!』では日本中のギターがごっそり売れて、学生は軽音部のドアを叩いた。『響け!ユーフォニアム』では、吹奏楽部っへの入部希望者が増えすぎて、楽器が足りなくなる学校もあった。京アニ作品の影響力の大きさがわかる。

京アニはアニメのイメージを変えた。「アニメは根暗のオタクが見るもの」。そんな先入観を消した。クラスのカースト上位の学生たちが、昼休みにアニメを語り、放課後にダンスを踊った。恋愛やファッションの話と同レベルで、アニメを語れる雰囲気を作った。

京アニはオタクのステータスを押し上げた。かわいい女の子や、イケメン男子が自分をオタクと言うようになった。いわゆるリア中オタクだ。なかには、「アニメ好き」を意外な一面を見せるためのステータスとして使う計算高い人たちもいるが、アニメにポジティブなイメージをつけた貢献は否定できない。

京都アニメーション放火事件・まとめ

許せない。いまはその言葉しか思いつかない。

僕たちにできることはなんだろう。事件を消すことはできない。犯人への怒りも消えることはない。

だけど、京アニがこれまでに築き上げてきたポジティブできらきらしたイメージを消してはいけない。それは犯人を喜ばせることになる。

火災によるネガティブなイメージを吹き消していこう。作品を見て、泣いて笑って、楽しもう。作品のすばらしさを友人・家族に広めていこう。それが僕たちにできる最大の恩返しだ。

京アニが描くキャラクター達なら、いつか悲しみを乗り越えて、立ち上がり、さらにきらきらした日常を作り上げていくはずだ。

京アニ放火事件犯人・青葉真司の壮絶な半生 日本アニメの未来を殺した男

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