空気を読む男におれはなる!微表情を読み取り、相手の感情を見抜く方法

空気を読む男におれはなる!微表情を読み取り、相手の感情を見抜く方法

「空気を読むってどうすればいいの?」。小学生にそう聞かれたら、なんと答えるだろう?

僕だったらこう答える。「お友だちのお顔をしっかりと見て、おしゃべりすればいいんだよ」と。

空気が読めない人は相手の感情がうまく読み取れない。自慢話をする人、嫌なことを言う人、秘密をバラす人、同じ女の子に何度も告白するのだってそうだ。相手が困っているのに気がつかない。

では、どうすれば相手の感情が読み取れるのか? 相手の表情をよく見る。それだけだ。

人は言葉ではウソがつけるが、表情ではウソがつけない。そして感情は、微表情と呼ばれる顔の動きにかならず表れる。微表情が読み取れると、ビジネスでも、プライベートでも、空気を読む男になれるのだ。

空気を読む男におれはな、りたい

相手のホンネを見抜けず、ひどい目にあった経験はないだろうか? たとえば、こんな経験だ。

  • お客さまとひどく会話が盛り上がり、「そろそろ契約書にサインを」とキメ顔で切り出したら、あっけなく断られた。
  • 「この前買ったお洋服、少し小さかったみたい。太っちゃったのかしら」とにこやかに話しかけてきたお客さまに、こちらも気さくに受け答えしていたら、本社にクレームが届いた。
  • 企画書を出したら、「いいね」「期待しているよ」「がんばったね」などと上司からえらくほめられた。企画書は通らなかった。
  • 「お互いウィンウィンでいきましょう」という取引先を相手に、なごやかな雰囲気で商談を終えた。他の企業より高い単価で契約させられていた。
  • 仕事の進捗を部下に聞いたら、「大丈夫、任せてください」という返事。信じていたら、うまく進んでおらず、大きな損害が出た。
  • 毎日遅くまで働いている部下に「無理するなよ」と声をかけても「体、丈夫ですから」といつも笑顔の返事。安心していたら、突然の休職願い。「うつ」らしい。
  • 結婚の話もでている彼女と今日も楽しくデートをした。帰りぎわに「話があるの」。別れ話だった。

対して、空気を読み、コミュニケーションをとるのがやたらとうまい人がいる。

  • 契約とりまくり、売上あげまくりの営業マン
  • 楽しそうにしゃべっているだけなのに売れる販売員
  • 企画書も通るし、プレゼンもうまい同僚
  • 嘘を見抜くのがうまい上司
  • 多くの部下から慕われるマネージャー
  • 結婚しているのに、やたらと女性に言い寄られる友人

一体なにが違うのか? 彼らはどうやって空気を読み、話す言葉や見せる表情を選んでいるのか?

彼らに直接聞いてみたところで答えは見つからない。「そんなの雰囲気だよ」「意識したことないよ」「経験だから、そのうちできるようになるよ」「ヨムヨムの実を食べた」なんて言葉が返ってくる。

企業秘密だからはぐらかしているのか、それとも本当に空気を読む特別な才能があるのか。それすら読み取れない、見抜けない。なんてこった。

ホントのところ、彼ら自身もわかっていない。コミュニケーション能力が優れている人でも、なぜ自分が空気が読めるのかうまく説明できない。「こうした状況では、こうしたほうがうまくいくはず」という、いままでの経験からベストな方法を導き出しているだけなのだ。

経験則はいつも正しいとは限らない。正しくない場合もある。経験則は、高い確率で成功する博打みたいなもの。数学の公式ように、Xに数字を代入すると確実に答えがでるたぐいものではない。

また、他人の経験が自分にも有効かなんてわからない。イケメンが経験から得た恋愛術を、フツメンやブサメンがマネしたってうまくいくわけがない。キモいんだけど、とののしられるのがオチだ。

だったらどうしたらいいんだ? 経験を積み、自分なりの空気を読む方法を見つけるほかないのか?

そんなことはない。「微表情」を読み取る技術を身につければ、空気が読めるようになる。ビジネスでも、プライベートでも、空気を読む男になれる。相手のホンネを見抜き、円滑なコミュニケーションがとれるようになる。

ん? 微表情って、なに?

微表情って、なに?

微表情とは、まわりに気づかれないように抑えている感情が「一瞬表情に表れては、次の瞬間に消えている」きわめて細かな顔の動きをいう。時間にすると0.2秒以下で、心が動揺したときなどに表れる。あまりにすばやく、小さな動きのため、読み取る方法を学んでいないかぎり会話の中では見過ごしてしまう。

微表情から読み取れる感情は「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「驚き」の7種類。これらの感情は、文化や民族、性別、年齢、さらには時代を超えて、万国共通で人の顔に表れるとわかっている。

また、生まれたての赤ちゃんや、生まれたときから目が見えない人の顔にも表れる。まさに人間のDNAレベルできざまれた反応といえる。

微表情は、顔の一部にだけ表れる場合もある。たとえば、人は怒りを感じたとき、眉をつり上げ、目を見開き、口を一文字に結ぶといった表情を見せる。微表情では、怒りの表情になる条件をまるっと満たすときもあれば、眉や口元など1つか2つのパーツだけに表れるときもある。眉だけがつり上がったり、口だけが一文字に結ばれたりする。

微表情を顔に出さないようにするのはむずかしい。顔の筋肉を表情筋といい、表情筋が組み合わさってさまざまな表情が作られる。表情筋には自分で思いどおりに動かせない筋肉がある。こうした自分ではコントロールできない表情筋がとっさに微表情として顔に出てしまう。無意識に、といってもいい。

微表情から見抜ける7つの感情

微表情から見抜けるのは「幸福」「軽蔑」「嫌悪」「怒り」「悲しみ」「恐怖」「驚き」の7つの感情。それぞれの特徴をみていこう。

「幸福」の表情

幸福の表情は目標を達成したり、欲求を満たしたりしたときに表れる。また、相手に同意を示すときや好意を抱いているときにも表れる。

幸福の表情には次の特徴がある。口元のほころびと目尻のしわがポイントだ。

  • 目尻にしわができる
  • ほほが上がる
  • 口角が上がる

目尻のしわは作った笑顔には見られない特徴だ。本心で喜んでいると考えていい。

「軽蔑」の表情

軽蔑の表情は自分の経験や知識、地位などが相手を上回っていると感じたり、ポイ捨てなどの不道徳な行いを見かけたりしたときに表れる。

軽蔑の表情には次の特徴がある。左右非対称になるのがポイントだ。

  • 片方の口角が上がる

ビジネスで相手が軽蔑の表情を浮かべたら、「ご意見を頂きたいのですか」と下手に出るといい。相手が我慢している優越感を解き放ってあげれば、相手を思いどおりに動かせる。

「嫌悪」の表情

嫌悪の表情は不快なにおいがしたときはもちろん、嫌いな相手が近くにいるときや、相手の言動が気にくわないときに表れる。

嫌悪の表情には次の特徴がある。鼻のまわりのしわがポイントだ。

  • 鼻やそのまわりにしわができる
  • 上くちびるが上がる

部下に指示を出したとき、「分かりました」と言いながら嫌悪の微表情が表れたら要注意。納得していない証拠だ。フォローを欠かさないように。

「怒り」の表情

怒りの表情は目的が達成できなかったときや、起こった出来事や相手の言動が気に食わないときに表れる。

怒りの表情には次の特徴がある。まゆとくちびるが力むのがポイントだ。

  • 両まゆが中央に引き寄せられる
  • 目を見開く
  • 下まぶたに力が入る
  • くちびるを上下から固く閉じる(口元に力が入ると口が開く人もいる)

話をしている相手の顔に怒りの微表情が見えたら、「この人、自分の話をわかっていない」といらだっている可能性がある。こちらが話しているときに表れたら、「話がわかりにくい」「聞き取りにくい」と思われているのかも。どちらも相手は不満がある。変化が必要だ。

「悲しみ」の表情

悲しみの表情は、希望を失ったときや、相手の言動にがっかりしたときに表れる。

悲しみの表情には次の特徴がある。八の字まゆ毛とあごのしわがポイントだ。

  • まゆの内側が上がる
  • 両まゆが中央に寄る
  • 下くちびるが下がる

商談中に相手に悲しみの微表情が生まれたら、交渉成立の望みが薄いだろう。条件を歩み寄ったり、オプションを打診したりすると、望みがつながるかもしれない。

「恐怖」の表情

恐怖の表情は、体や心の安全が損なわれたときに表れる。

恐怖の表情には次の特徴がある。おでこのこわばりと下まぶたの緊張がポイントだ。

  • 両まゆが上がり、中央に寄る
  • ひたいの中央に波状のしわができる
  • 目を見開く
  • 下まぶたに力が入る
  • 口角が横方向に引かれる

相手が冷静さを装いながらも表情がこわばっているようなら、ウソをごまかそうとしているのかもしれない。質問をしたときに相手の顔をよく見ておこう。

「驚き」の表情

驚きの表情は、思ってもみない出来事が起きたときに表れる。

驚きの表情には次の特徴がある。大きく開く目と口がポイントだ。

  • 両まゆが上がる
  • ひたい全体に水平のしわができる
  • 目を見開く
  • 口を開く

こちらが説明しているときに驚きの微表情が表れたらチャンスだ。興味や関心を持っていると考えられる。驚いたポイントを詳しく説明したり、話を聞いたりするといい。提案が受け入れられる確率が高まるはずだ。

微表情を読み取るときの注意点

微表情が顔に表れるのは0.2秒以下だ。秒速の世界を生き抜きたいなら、次の3点に注意しよう。

  • 中立の顔をよく観察する
  • 会話中の自然な動きと間違えない
  • 「怒り」と「集中」を見分ける

中立の顔をよく観察する

微表情を読み取るには、相手の中立の顔を知っておく必要がある。中立の顔とは、なんの感情も抱いていないときの表情だ。無表情ともいう。中立の顔を基準として、わずかな表情の変化を読み取るのだ。

たとえば、八の字まゆげは悲しみの表情の特徴だが、もともとそういう顔の人がいる。眉間にしわを寄せて怒ったように見える人もそうだ。相手の顔の特徴をよく観察しておけば、中立の顔なのか、悲しみの表情なのか、読み違えることがない。ちなみに、元から八の字まゆ毛の人が悲しみを抱くと、さらにまゆ毛が急勾配になる。

お年寄りの微表情は読み取るのがむずかしい。加齢によるしわがあるからだ。とくに目尻と眉間のしわには要注意。目尻の笑いじわは笑顔と、眉間のしわは怒り顔と勘違いしやすい。笑っていると思っていたおばあちゃんが、実は怒っていたなんて勘違いが起こる。

個人のクセもやっかいだ。笑ったときに、鼻のまわりにしわができる人や表情が左右非対称になる人がいる。嫌悪や軽蔑と間違えやすいため、気をつけたいところだ。

会話中の自然な動きと間違えない

会話中はどうしても顔の筋肉が動く。とくに、まゆが上下に動く。相手の言葉に、両まゆを上げて関心を示したり、両まゆを下げて戸惑いを表したりする。「へー」とか「えー」とか、相づちを入れながらコミュニケーションをとる。また、強調したい部分では「ここ!」とまゆ毛が上がる。

見分け方は簡単だ。そもそも微表情は相手に悟られたくない顔の動きだ。会話中の表情の動きは相手に気づいてもらうための動作だ。相手の顔を見ながら会話をしていれば、意識せずとも見分けがつく。

怒ってるのかな? それとも、集中しているのかな?

怒りの表情は、集中したり考えたりするときの顔に似ている。両まゆを中央に引き寄せ、くちびるを固く閉じるといった表情筋の動きだ。

違いはすぐにわかる。ブチっと切れてしまったときは別として、人は怒りの感情をできるかぎり抑えようとする。怒りの微表情はチラッとしか表れない。しばらくの間、怒っている表情が続くなら、考え込んでいる可能性が高い。

ただし、世の中には「察してちゃん」という生き物がいる。女性に多いようだ。彼女たちは怒りの表情をアピールする。察してあげるのが、空気を読む男の役目だ。呼吸に集中しているのかな? などと考えてはいけない。

微表情を読み取るトレーニング

ここからは微表情を読み取るトレーニング方法をみていこう。

  • 相手の表情を意識して見る
  • 音を消してテレビを見る
  • 専用のトレーニングツールを使う

相手の表情を意識して見る

相手の表情に興味を持たないかぎり、いつまで経っても微表情を読み取ることはできない。相手の顔を見て会話しているだろうか? パソコンを見ながら、スマホを見ながら、会話していないだろうか?

微表情を学んだあとに相手の顔を見ると、いままで気にもかけなかった顔の動きに多くの情報が隠されていると気づく。道を歩いているときや電車に揺られているときなど、会話中以外でもまわりの人の表情を観察してみるといい。

音を消してテレビを見る

ニュース番組でテレビの音を消して、出演者の表情から次のニュースがよい話題か、悪い話題かを当てる。テロップがでるからすぐに答え合わせができる。キャスターは表情の変化が少ないため、微表情を読み取るよいトレーニングになる。

男性キャスターに話を振られた女性キャスターが軽蔑の微表情を浮かべるのが見られたら、楽しいに違いない。

専用のトレーニングツールを使う

微表情を読み取るトレーニングのための動画教材が売っている。映像の中の人物が見せるさまざまな微表情を見て、その人物がどんな感情を抱いたか判断していく。

かなり効果が期待できるようだ。集中して1時間トレーニングをするだけで、微表情を読み取る力が著しく向上する。ある学習者は40%の正答率だったのが、1時間のトレーニングで80%にまで正答率が上がったという。さらに学習の効果は2〜3週間も続くようだ。

まとめ|空気を読める男の戦いはこれからだ!

微表情を学び、空気を読む男になったところで、心に留めておいてほしい教訓がある。

微表情を読み取り、感情を見抜いたとしても、なぜ相手がその感情を抱いたのか、その感情を誰に(何に)向けているのか、まではわからないという事実だ。

会話中に相手が嫌悪の表情を見せたとき、「なにか気に触る発言をしてしまったのかな」と多くの人は考えるだろう。だが、そうとも限らないのだ。

お昼に食べたとうもろこしが歯に詰まって不快なのかもしれないし、数日前に部長が言った嫌味をふと思い出したのかもしれない。あるいは、あなたとうまく話せない自分自身がもどかしいのかもしれない。
相手に確かめてみないかぎり、心の中は見えないのだ。

微表情を見抜いたあとに相手に向ける言葉、あるいは行動そこが、空気を読む男の腕の見せどころだ。ぜひ、最高の言葉と行動を選び、心をつかんでほしい。

だけど、見なかった振りをするのがいい場合もある。微表情のきっかけとなった感情が、相手が言いたくないプライベートな内容だったら、一転して空気が読めない男になる。セクハラと言われかねない。

健闘を祈る。

微表情に興味を持った方は、ぜひ下記の書籍を読んでみてほしい。それぞれの微表情を絵を使って詳しく解説しているため、よりいっそう理解が深まるはずだ。また、商談やプレゼンから恋人とのケンカまで、シチュエーションごとの微表情の読み取り方が学べる。空気を読む奥義や、愛想笑いの見抜き方なんてのも載っている。空気を読む男の必読書だ。

参考にした書籍とウェブサイト;

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