生活習慣病の予防法|忙しくてもすぐに改善できる老化を防ぐ9つの習慣

生活習慣病の予防法|忙しくてもすぐに改善できる老化を防ぐ9つの習慣

忙しいビジネスパーソンは、健康に注意を払わない生活を送りがちだ。不摂生な生活を続けていると、死につながる生活習慣病にかかるリスクが高くなる。

老化を感じはじめる30代・40代は、生活習慣を見直すターニングポイントだ。この時期に生活習慣を改めるかどうかで、今後も若々しくいられるか、それとも元気が無くなっていくかが決まる。

ここでは主な生活習慣病の予防法とともに、忙しいビジネスパーソンがすぐに改善できる生活習慣を9つ紹介する。

生活習慣病とは

生活習慣病とは、飲み過ぎや食べ過ぎ、運動不足、睡眠不足などの不摂生な生活を長いあいだ続けてきた結果として起こる病気だ。日本人の死因の中でも上位に入る「がん」「心臓病」「脳卒中」や「糖尿病」「高血圧」「高脂血症」、さらには「痛風」「歯周病」「骨関節症」なども生活習慣病に含まれる。

生活習慣病の中でも、基礎代謝が落ちてくる30代・40代が気をつけたいのはメタボリックシンドローム(メタボ)だ。メタボとは、内臓脂肪に加え、次の4つのうち2つ以上に、すぐに治療するほどではない程度の異常値がでる状態をいう。

  • 血中中性脂肪
  • 血圧
  • 血糖値
  • HDLコレステロール

「メタボ=肥満」という思い込みは危険だ。見た目はそれほど太っていなくても、内臓のまわりに脂肪が集まっている隠れメタボの可能性がある。やせ型の人でも、20代の頃と比べ、体重が10%以上増えた人は要注意だ。

生活習慣病の各症状には、より重い病気に発展するリスクがある。たとえば高血圧の影響は、多くの血管が集まる臓器ほど大きい。高血圧の人は脳や腎臓、目の網膜などに大きな負荷がかかる。脳梗塞や腎不全、眼底出血などの複数の病気を発症する可能性がある。

生活習慣病には自覚症状がないまま進行する病気が多い。健康診断で少しでも気になる数値がでたときには、ひとごととは考えず、生活習慣を見直すよう心がけたい。

主な生活習慣病と予防法

生活習慣病の予防では、食事と運動が大切だ。とくに基礎代謝が落ちる30代・40代以降は栄養の摂りすぎを防ぐため、腹八分目の食事を心がけたい。普段の食事では野菜やキノコ類などの食物繊維や、ヨーグルトや納豆、ぬか漬けなどの発酵食品を意識して食べよう。

お酒は1日に日本酒1合、あるいはビールのロング缶(500ml)程度まで。これ以上の飲酒は体にとっては害でしかない。ビールにはコーラと同じくらいの糖分が含まれている。ビールの飲み過ぎは血糖値を上げる原因だ。

日々の運動には「ウォーキング」「筋トレ」「ストレッチ」というタイプの違う3種類の動きを取り入れたい。筋トレとストレッチは1日10分、ウォーキングは仕事で歩く時間を含め1日40分で十分だ。

生活習慣病の予防では、普段から体重や血圧を測ったり、食事のカロリーを計算したりする習慣をつけるのも大事だ。自分の体の変化や食事の量を把握することで、現在の生活習慣の改善点が見えてくる。

血圧や血糖値はストレスを受けると高くなる。生活習慣病を予防するためには、しっかりと休息をとり、ストレスの少ない生活を送りたい。

糖尿病

糖尿病は血液に含まれるブドウ糖の濃度が異常に高くなる病気だ。初期段階では自覚症状はないが、放っておくと失明や腎臓障害、神経痛などの障害を引き起こす。40歳以上の男性の3人に1人、女性の4人に1人が糖尿病あるいは糖尿病予備軍といわれている。

糖尿病の予防では毎日運動することが大事だ。食事では糖質の多い穀物の食べ方に注意したい。白米ばかり食べるのではなく、色のついたままの穀物(全粒穀物)を食べるようにする。

玄米や発芽玄米、全粒粉の小麦を使った食品など、全粒穀物には食物繊維が多く含まれる。ゆっくりと消化吸収されるため、食後の血糖値の上昇を抑えることが可能だ。腹持ちがいいというメリットもある。

がん

日本人の死因のトップはがんだ。がんの中で死亡者数がもっとも多いのは肺がん。第2位は大腸がん、第3位は胃がんだ。

がんの部位別統計|日本対がん協会

肺がんは喫煙との関係が深いのが科学的に証明されているが、非喫煙者にも発生する。大腸がんは食生活が欧米化(肉食中心)したことで近年、患者数が増えている。胃がんは食生活との関わりが深く、塩分の摂りすぎとも関係がある。大腸がんとは反対に、食事や生活習慣の変化で若い世代では患者数は減っている。しかし、高齢者が増えているため死亡者数は多い。

厚生労働省が検診をすすめる5つのがんの部位と症状|日本対がん協会

がんの原因の30%は食生活だといわれている。脂肪分や糖分が高い食品を控え、野菜や果物、全粒穀物など植物性の食品を多くとることが、がんの発症を防ぐ。

脂質異常症

脂質異常症とは血液中の脂質が異常値を示す状態のことだ。善玉のHDLコレステロールが減り中性脂肪が増えると、動脈硬化が進行し、脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)や心血管障害(狭心症や心筋梗塞など)につながる。

脂質異常症を引き起こす一番の原因は、高カロリー食品の摂りすぎだ。脂質異常症の予防では、食べ過ぎや飲み過ぎに気をつけるのはもちろん、食物繊維や大豆製品、青魚などを多く食べるようにしたい。

高血圧

高血圧は血液が血管を通るときに強い圧力がかかっている状態だ。40歳以上では2人に1人、60歳以上では60%以上が高血圧だといわれている。高血圧が悪化した場合、圧力に耐えられなくなった血管が切れ脳出血が起きたり、血管が詰まり心筋梗塞や脳梗塞などの病気につながったりする。

高血圧の原因には塩分の摂りすぎやお酒の飲みすぎ、運動不足、ストレスなどがある。高血圧の予防法はカリウムやマグネシウムが多く含まれる野菜や果物を食べることだ。カリウムやマグネシウムを含む食品には、体の中の塩分を外に出すのを助けてくれる働きがある。

心筋梗塞・脳卒中

高血圧や脂質異常症、糖尿病の症状が進むと、心筋梗塞などの心血管障害や脳卒中が発症するリスクが高まる。心筋梗塞や脳卒中は死に直結する病気だ。助かったとしても、運動障害や言語障害などの後遺症が残るケースも多い。

心筋梗塞や脳卒中の予防法は、普段から血圧や脂質などの数値を測り、変化を記録することだ。異常値を示したときには、食事療法と運動療法を行い、数値を適正値まで戻したい。

認知症

認知症には「脳血管性」と「変性性」の2種類がある。脳血管性の認知症は、脳卒中の後遺症として現れることが多い。記憶があいまいになり、忘れ物が多くなったり同じ話を繰り返したりする。

アルツハイマーを含む変性性の認知症は、脳細胞の減少や死滅により発症する。人や物に接したり本を読んだりする機会が少ない人が発症しやすいとされる。生活習慣との関わりが大きいと考えられている。

生活習慣病を防ぐ9つの予防法

人は30代までは心身ともに成長していく。ところが、40代を迎えると、筋肉やホルモン、神経、血管、骨などの体の機能が衰えはじめ、病気のリスクが高まる。40代はちょうど老化を感じはじめるターニングポイントだ。

老化のスピードは食事や運動などの生活習慣の改善で遅らせることが可能だ。30代あるいは40代で生活習慣を見直す人は、これからも若々しさを保てる。生活習慣を改めなかった人はどんどん元気がなくなっていく。老化を感じはじめる時期をどう過ごすかで、40代以降の健康格差がますます広がっていくのだ。

多くのビジネスパーソンは日々の忙しさを言い訳として、生活習慣を改めようとはしない。健康診断などで生活習慣病の疑いが強くなってから、慌てて生活習慣を見直すビジネスパーソンがあとを絶たない。

くも膜下出血や心筋梗塞など、生活習慣病の中には突然死につながる病気がある。病気になってから生活習慣を見直すのでは手遅れになるかもしれないのだ。

かといって、いきなり生活習慣を改めるのはむずかしい。「ランニングや筋トレをはじめよう」「バランス良い食事を摂ろう」と決心しても、途中でダメになってしまうのは明らかだ。そもそも忙しいビジネスパーソンには、ゆっくりと運動や食事をする時間がない人も多い。

なにも、はじめから100%を目指す必要はないのだ。日常のなかで少しずつ生活習慣を改めていけばいい。ひとつひとつは小さな効果しかない習慣だとしても、5年後、10年後には大きな差となって効いてくる。

ここではビジネスパーソンの1日の中で、すぐに改善できそうな生活習慣を9つ紹介する。

朝食を食べる習慣を身につける

生活習慣病を防ぐには朝食は食べたほうがいい。朝食を抜き、空腹状態のまま昼食を食べると、血糖値は急に上がる。血糖値を下げるために、すい臓には大きな負担がかかる。毎日これを繰り返すと、すい臓の機能が落ち、糖尿病になる危険がある。

栄養バランスのとれた朝食を食べるのがベストだが、朝は出社の準備などで忙しいもの。ゆっくり食事をする時間がない人は、とにかく朝食を食べる習慣を身につけるところから始めたい。忙しい朝には、調理する必要がない果物や乳製品がおすすめだ。糖分やビタミンなど、午前中に必要な最低限のエネルギーと栄養を補うことができる。

30分ほど早起きして朝日を浴びる

朝活など、世間では集中力が高い朝の時間を有効活用しようと言われている。しかし実際には、残業や接待が続く時期があるため、ビジネスパーソンが毎日朝早く起きるのはむずかしい。睡眠不足で日中の仕事に支障が出ては、本末転倒だ。

睡眠は大事だが、家を出るぎりぎりの時間まで眠っているのもよくない。体が睡眠モードから切り替わらないまま仕事を始めても、思うように作業は進まない。しわ寄せで残業が増えるだけだ。

体を目覚めさせるには、朝日を浴びるのがおすすめだ。いつもより30分ほど早起きして朝日を浴び、1日のリズムを作り出したい。

5階までは階段を使う

早朝にジョギングをしたり、自転車で通勤したりするビジネスパーソンが増えている。生活習慣病の予防にはすばらしい習慣だ。しかし、通勤時間が長い人は出社前にまとまった時間を作るのはむずかしい。普段の生活の中で、体に少しの負荷をかけるのがおすすめだ。

たとえば、5階までは階段を使う習慣をつける。階段を昇るときには、大腿四頭筋という太ももの前面の筋肉を使う。大腿四頭筋は体の中でも大きな筋肉なので、効率よく脂肪を燃やせる。

階段を昇るのは、ジョギングより強度が高い運動だ。駅の階段やオフィスの階段、自宅マンションの階段など、1日に階段を使う時間は10分〜15分程度。毎日15分ジョギングしているのと同じ運動効果が得られる。

数kcalを笑うな!階段昇りには「ジョギング並みの運動効果」|2014.10.10 NEWSポストセブン

昼食には高タンパク低カロリーの食品を加える

生活習慣病を防ぐには、昼食は炭水化物とたんぱく質と脂質の割合が3:1:1になる食事が理想だ。しかし、忙しいビジネスパーソンの昼食は、コンビニやファーストフードなど簡単に済ませられる食事に偏りがち。どうしても炭水化物中心の食事になり、たんぱく質が足りなくなる。

そこで忙しいビジネスパーソンには、普段の昼食に高タンパク低カロリーの食品を1品加えることをおすすめしたい。コンビニではサラダチキンやゆで卵、豆腐などが手軽に買える。おにぎりを2つ買う人は1つに減らし、高タンパク低カロリーの食品を1品追加してみてほしい。

40代の食事は食べ過ぎNG!健康な胃腸を作る6つの改善点

昼食は眠くならない食べ方をする

昼食後に眠くなるのはある程度は仕方がない。人間には24時間周期の体内時計が備わっている。午後1時から3時のあいだはちょうど眠くなる時間帯なのだ。昼食を食べたあとに眠くなるのは人間の生理現象といえる。

しかし、耐えられないほどの眠気に襲われるなら、それは炭水化物の食べすぎが原因かもしれない。

炭水化物を摂りすぎると、血糖値がいっきに上がり、大量のインスリンが分泌される。その結果、インスリンが効きすぎて血糖値が急に下がる。今度はブドウ糖が足りなくなるのだ。脳には必要なブドウ糖が届かず、頭がぼんやりしたり、眠くなったりする。これが食後のはげしい眠気の原因だ。

食後のウトウト…何とかしたい! 眠気防ぐランチ術|2017/2/2 日本経済新聞 夕刊

昼食を抜くのは逆効果だ。血糖値が低すぎる場合にも、体は脳を休めようとする。昼食後の眠気を抑えるには、炭水化物を食べすぎないのが大事。昼食の一品を炭水化物から高たんぱく低カロリーの食品に置きかえるのがおすすめだ。

デスクワークではたびたびストレッチをする

長時間のデスクワークは肩こりや腰痛の原因だ。肩こりや腰痛を防ぐには、背筋を伸ばし骨盤をたてて座るといいのだが、この座り方はかなりの筋力が必要になる。少しずつあごが出て背中が曲がってくるため、正しい姿勢で座り続けるのはむずかしい。

デスクワークでは、90分に1度は席を立ち、姿勢をリセットしたい。ストレッチで首や肩の筋肉を伸ばし、体を柔らかく保つ。デスクワークで固まった体を正しい姿勢に戻すことが可能だ。

仕事以外では目を使わない趣味を楽しむ

現代人はとにかく目を使いすぎだ。とくに今のビジネスパーソンの仕事はパソコン作業が中心。仕事以外でもテレビを観たりスマートフォンを使ったりするのでは、交感神経は常に高まったまま。目を休める暇がない。

仕事でパソコン作業が多い人は、帰宅中や帰宅後には目を使わない趣味を楽しみたい。音楽やラジオを聴くなど、目以外の器官を使うことで、脳内の目に関わる領域を休ませることが可能だ。

栄養バランスは夕食で帳尻を合わせる

朝昼晩の3食すべてで栄養バランスのよい食事をとるのはむずかしい。とくに朝や昼は忙しいため、軽食や丼ものなど、栄養の偏った食事で済ませがちだ。

そこで忙しいビジネスパーソンは、朝昼に比べ時間にゆとりがある夕食で1日の栄養バランスを整えるのがおすすめだ。夕食では不足しがちな野菜や果物を多めに摂りたい。接待や飲み会が続くなどその日のうちに調整できない場合は、1週間トータルで栄養バランスを整えるという臨機応変さも必要だ。

睡眠の質を高める

生活習慣病の予防には規則正しい生活が欠かせない。毎日同じ時間に眠り同じ時間に起きるという睡眠リズムは一定に保ちたいものだ。しかし、社会人は仕事が終わる時間が不規則。毎日同じ時間に眠れるとはかぎらない。

そこで社会人は、睡眠時間を増やすより、睡眠の質を高めることを心がけたい。質の高い睡眠では、疲れを取るのに欠かせない成長ホルモンが多く分泌される。ストレスホルモンであるコルチゾールの働きを抑えることが可能だ。

睡眠の質を高めるもっとも簡単な方法は、寝具(ふとん・まくら・寝巻きなど)にこだわることだ。おすすめはアイマスク。暗い場所では副交感神経が活発に働くため、アイマスクは体が休息モードに切り替わるのに役立つ。

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