「転勤は退職のきっかけになる」が64% でも現実は…【アンケート結果】

「転勤は退職のきっかけになる」が64% でも現実は…【アンケート結果】

「転勤は退職のきっかけになる」と64%の人が答えたが、実際に「転職を理由に退職したことがある」のはわずか5%の人だった。

ビジネスパーソンには理想と現実の違いを突きつける結果だろう。

転勤についてのアンケート調査の結果を24日、転職支援サービスの「エン転職」を運営するエン・ジャパン株式会社が発表した。

グラフとともにお伝えする。

▼転職に関するアンケート調査の概要

  • 調査方法:インターネットによるアンケート
  • 調査期間:2019年8月28日〜9月25日
  • 『エン転職』を利用するユーザー
  • 有効回答数:10,539人

▼参考サイト

1万人が回答!「転勤」に関する意識調査 ―『エン転職』ユーザーアンケート―

「転勤は退職のきっかけになる」は64%

転勤は退職のきっかけになるか【年代別】

「転勤は退職を考えるきっかけになるか」の問いには、64%の人が「なる」と答えた。「なる」(31%)と「ややなる」(33%)の合計である。

20代と40代以上では10%の差がついた。若い人ほど、転勤に対する拒否感が強いようだ。

転勤は退職のきっかけになるか【男女別】

男女別では、女性が男性を5%上回った。

転勤が退職を考えるのは若い人で、女性ほど転勤に対する拒否感が強いことがわかった。

「転職を理由に退職したことがある」は5%

転職を理由に退職したことがあるか【年代別】

「転職を理由に退職したことがあるか」の問いに対して「はい」と答えた人はわずか5%だった。

退職したことがある人の割合は年齢が上がるほど高くなる。それはそうだろう。

転職を理由に退職したことがあるか【男女別】

男女別では、男性が女性を3%上回った。

転勤を理由に退職したことがある人は40代以上で、男性に多いという結果になった。

転勤を拒否して退職した理由は?

転職を拒否して退職した人のエピソードをいくつか紹介する。

「転勤なしで入社したにもかかわらず、入社して2週間で転勤になった」(25歳男性)

「母の体調が悪く、自宅から通える距離から離れたくなかった。転勤の話は今後もでる」(30歳女性)

「結婚の予定があった。全国に転勤のある総合職から地域限定職に変更を申し出たが反対された」(31歳女性)

「地元が被災した直後に遠方に転勤を言い渡された。復興作業のさなかに転勤することに。納得できずに結局は退職した」(32歳男性)

「関西から関東に転勤を命じられた。家を建てたばかりで、妻の体調も悪かった。転勤を拒否したが聞き入れてもらえなかった」(42歳男性)

「海外転勤を依頼された。父がガンで余命が1年以内だったため待ってくれるようにお願いしたが、有無をいわさずに辞令がでた」(45歳男性)

「転勤の辞令を受け入れる」は63%

転勤の辞令が出たらどう対処するか【年代別】

「転勤の辞令が出たらどう対処するか」の問いには63%が「受け入れる」と答えた。うち50%の人は「条件付きで受け入れる」ようだ。

年代別ではそれほど差がない。

転勤の辞令が出たらどう対処するか【男女別】

男女別では男性が多かった。女性を13%上回った。

転勤を受け入れる条件は?

転勤を受け入れる条件【年代別】

「条件付きで受け入れる」と答えた人の、具体的な条件は、「家賃補助がでる」(73%)がもっとも多かった。「昇進・昇給がある」(56%)、「転勤期間が決まっている」(55%)と続いた。

年代別では「転勤先を選択できる」で10%以上の差がついた。40代が28%に対して20代が38%と、若い人ほど転勤先にこだわりがあるようだ。都会がいいのかしら。

転勤を受け入れる条件【男女別】

男女別では、「単身赴任手当がでる」で男性が女性を11%上回った。「やりたい仕事ができる」と「転勤先を選択できる」では、女性が男性をそれぞれ11%、15%上回った。

男性はお金を重視して、女性はやりがいを大切にするという結果になった。単身赴任は生活費が2重にかかるため、小遣いを減らされるのだろうか。

転勤を断る理由は?

転勤を断る理由【年代別】

「条件に関係なく転勤を断る」と答えた人の、具体的な理由のトップ3は、「配偶者も仕事をしている」(34%)、「子育てしづらい」(34%)、「親の世話・介護がしづらい」(33%)だった。

年代別でもっとも多かったのは、20代は「新しい土地に慣れることが大変」(44%)、30代は「子育てがしづらい」(46%)、40代は「親の世話・介護がしづらい」(41%)だった。

20代は遊び、30代は子育て、40代は介護と、年齢によって悩みごとが変わっていく様子がみてとれる。

転勤を断る理由【男女別】

男女別では、男性が「親の世話・介護がしづらい」、女性が「子育てがしづらい」がもっとも多かった。

男性は親を思い、女性は子を思う。男女の違いだろうか。考えさせられる。

「転勤したことがある」は26%

転勤したことがあるか【年代別】

「転勤したことがあるか」の問いには、26%が「はい」と答えた。

年代別では、20代で16%、30代で25%、40代で36%と、予想通りの結果だった。

転勤したことがあるか【男女別】

男女別では男性が37%、女性が15%と、転勤の経験は男性が22%も上回った。

「転職を理由に退職する」人が男女で3% の差だったことから、転勤ありの総合職についているのは男性が多い、あるいは転勤以外の理由で退職する女性が多いのだろう。

転職のメリットは?

転職のメリット【年代別】

転勤したことがある人の、転勤して良かったことは「人間関係が広がった」(55%)がもっとも多く、「自身の能力が向上した」(39%)、「業務範囲が広がった」(37%)と続いた。

年代別では、「人間関係が広がった」で5%の差がついた。40代が54%に対して30代が59%と、30代の転勤は新しい出会いが期待できそうだ。彼女が見つかったのかな。

転職のメリット【男女別】

男女別では「人間関係が広がった」で女性が男性を6%上回った。彼氏が見つかったのだろう。

まとめ

辻仁成さんと江國香織さんによる恋愛小説に『冷静と情熱のあいだ』がある。

竹野内豊さん主演で映画化され、興行収入27億円の大ヒットを飛ばした。観たことがある人も多いだろう。

小説は江國さんがまずストーリーを書き、その続きを辻さんが書いたという。月刊誌に交互に連載する形をとった。

退職してやる、いや受け入れよう。転勤を告げられたあとには葛藤がある。冷静と情熱、どちらの選択がよかったかは、時間が教えてくれるだろう。

小説で、思い合う2人が結ばれるのは10年後である。

「転勤は退職のきっかけになる」が64% でも現実は…【アンケート結果】