仕事のミス&トラブル報告の技術|3ステップの報連相でスピード解決!

仕事のミス&トラブル報告の技術|3ステップの報連相でスピード解決!

仕事のミスやトラブルを完全に防ぐのはむずかしい。ミスが起きてしまったときにまず考えるのは、被害や損失を最小限で食い止めること。そのために、最初にすべき対応が上司への「報告」と「相談」だ。

ミスが起きたときの報連相では、「すばやさ」と「正確さ」が求められる。上司への報告が迅速かつ的確であるほど、被害が少なくて済み、立て直しも早い。ミスが起きた後にうまく対応できれば、相手からの信頼をかえって高めることも可能だ。

ここでは、仕事のミス&トラブル報告を部下と上司、それぞれの視点から紹介する。

仕事のミス&トラブルを上司に報告する前に

仕事のミスやトラブルへの対応は、取引先やユーザーといった自社から距離が遠い相手から行うのが鉄則だ。影響が及ぶ先を上司に的確に伝えるためにも、報告・相談する前には、「報告先と優先度」と「緊急性と拡大性」の2点を整理しておきたい。

報告先と優先度

ミスやトラブルが起きたら、影響が及ぶ先を「社内」と「社外」に分け、報告先と優先度を決める。社外を優先して対策、解決に乗り出す必要があるからだ。

他部署といっしょに仕事を進めている場合には、ミスが起きた事実と予想される影響を速やかに伝える。問題の大きさによっては、スピード解決のために、どの部署に相談、協力してもらうのが最善かも考えておく。

報告先と優先度

拡大性と緊急性

ミスやトラブルが起きた後は、自社で対応できなくなるまで被害を広げないことが何よりも大事だ。ミスによって起こりうる2次被害は、「緊急性」と「拡大性」を軸としたマトリックスで分けるといい。マトリックスへの分類は、「人」「物」「金」にどう影響するかを予想しながら進めていく。

最優先で対処するのは、マトリックス1に入るミスやトラブル。その他の項目については2から順に対応していくのが、ミスやトラブル対応での基本的な考え方だ。

  1. エンドユーザーや取引先に金銭的な被害が広がっているミスやトラブル
  2. 関係者やユーザーなどから「問い合わせ」「クレーム」が増えているミスやトラブル
  3. 被害が自部署や取引先などの関係者内でとどまるミスやトラブル
  4. 「ヒヤリハット」など、いまのところは被害が起きていないミスやトラブル
拡大性と緊急性

上司への報連相は3ステップで

ミスやトラブルを上司に報告・相談するときは、伝える順番にも気をつける。次の3ステップを心がけるといい。

  1. 事実と状況を伝える
  2. 経緯と理由を伝える
  3. 対策を相談し、指示を受ける

上司への報連相では、状況や経緯をすばやく理解してもらい、適切な対応策や指示を出しやすくするのがポイントだ。上司からの質問にはすぐに答えられるようしておく。伝える内容を「5W1H」でまとめておくと、時間のロスを防げる。

報告に続いて、具体的な対処法まで提案できれば完璧。ただし、対策まで考えが及ばなければ、ミスした第一報だけでもすぐに伝えることだ。ひとりで抱えているうちに、ミスの被害は広がっていく。

ミスやトラブルを起こすと、どうしてもパニックになり、判断力が鈍る。だからといって、ひとりで解決を試みたり、ミスを隠そうとしたりしないこと。こういった行為は、会社の信用に関わってくる。

ミスやトラブルへの速やかな対処はもちろん、のちの原因究明や対策立案のためにも、報連相の徹底は大事なのだ。

ここでは「発注のミス」を例として、上司への報連相の3ステップを紹介する。

1事実と状況を伝える

  • A社から納品されるはずだった部品が届かない→製造予定の商品が作れない
  • A社にすぐに発注しても、3日後に予定していた製造開始には間に合わない→ユーザーに向けた10日後の配送ができない

2経緯と理由を伝える

  • A社に部品を発注すべきところ、誤ってB社に発注してしまった
  • 発注翌日、A社に確認の電話をしなかったため、発注ミスに気づかなかった

3対策を相談し、指示を受ける

上司の指示

  • 自社の製造ラインの予定を聞き、4日後の稼働を依頼する
  • 今回はA、C、D社の在庫でしのぐ
  • B社の部品はキャンセル可能か確認する
  • キャンセル費用は追って相談する

対策

  • A社の在庫数を聞き、確保できる数を確認する
  • C社、D社にも部品の在庫を聞き、2日以内に納品できるか確認する
  • 10日後の配送が分割できないかを社内で検討、相談する

仕事でミスやトラブルを起こしたときに、やってはいけない3つの対応

1事実を隠す

ミスやトラブルはその大小にかかわらず上司に報告する。「叱られる」「評価が下がる」といったことを恐れて事実を隠せば、のちに大きく信頼を損なう。

2責任を転嫁する

ミスの原因を他人や他社に押しつけ、「自分は関係ない」といった姿勢を取るのは愚の骨頂。相手には自己保身に映り、自分や会社の信頼を失うことになる。ミスやトラブルの責任の有無を論じるより、その処理を速やかに進めることが最優先事項だ。

3受け身の姿勢

ミスやトラブルを起こしたあとは、後手後手の対応になりやすい。ミスを起こした罪悪感から積極性を失い、相手の要求や確認に応じるだけの受け身の姿勢になりがちだ。

受け身の姿勢では、被害は広がっていく。被害を最小限で抑えるには、上司とコミュニケーションを取りながら、先手先手で対応してことが欠かせない。

上司は部下に隠させないことがミス&トラブル対応のポイント

ミスやトラブルは「人に知られたくない」といったネガティブな感情が働き、過小報告になりがち。人事評価が絡んでくると、ミスやトラブルを報告する部下はさらに少なくなる。上司には良い報告しか届かない。いわば裸の王様だ。

職場がヒヤリハットを含む報連相をしやすい環境かどうかは、上司やリーダーの姿勢で変わる。部下は、上司やリーダーの性格によって態度を変える。空気を読むといってもいい。とくに「完璧主義」「責任感が強い」「感情の起伏が激しい」といった上司では、部下の報連相も少なくなりがちだ。

風通しの良い組織を作るには、まずは部下からの報連相を増やすのが条件だ。部下の報連相をうまく引き出すために、上司やリーダーは、「おひたし」の頭文字を心がけるといい。

部下の報連相をうまく引き出すのは、上司の「おひたし」

ミスやトラブルをいつでも報告できる職場環境を整えるのは、上司やリーダーの役割だ。ミスが許されない職種の管理者ほど、いつもピリピリしがち。まわりの部下たちは、厳格な上司とのコミュニケーションを避けようとする。

こうした心理的なプレッシャーを取り除くには、「おひたし」の4文字を心がけるといい。おひたしは次の4つの行動の頭文字をとったものだ。

  • 「お」 怒らない
  • 「ひ」 否定しない
  • 「た」 助ける
  • 「し」 指示する

報連相が多すぎるといって部下を叱る理由はない。どんな小さな情報でも上がってくる組織ほど、うまく機能している状態といえる。

部下の報連相を「しない」「できない」「したくない」を改善する

報連相は、通常業務のプラスアルファとして行うものではなく、立派な仕事のひとつ。

報連相をしない部下には

報連相の役割と大切さを知らないのが原因。あるいはその方法や、報告・連絡・相談の違いがわからない人もいる。些細なことでも報連相をする習慣を身につけさせるのが大事だ。

報連相できない部下には

報連相をする時間の余裕がないケースもある。営業職など外出が多い部署であれば、週に何度かは部下とコミュニケーションをとる時間を決めておこう。部下が上司に話しかけやすい雰囲気づくりも心がけるといい。

報連相をしたくない部下には

報連相を拒むのは、人間関係などの感情面に問題がある場合が多い。「上司と関わり合いを持ちたくない」「上司に知られたくない」という空気を出している部下がいたら、仕事の進め方について、一度、じっくり話し合う必要がある。

テンプレートを作り「ヒヤリハット」の事例を蓄積する

ミスやトラブルに関する報告は、ヒヤリハットの事例を含めて、テンプレートを使うのが有効だ。些細な報告の積み重ねが、今後の傾向分析や予防策を立てるのに役立つ。

ヒヤリハット報告書サンプル

報連相の目的は上司も部下も自分の評価を上げることである

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