理系は就職と収入で圧倒的に有利だった 理系脳と文系脳の特徴と診断方法

理系は就職、収入で圧倒的に有利だった 理系脳・文系脳の特徴と診断方法

情報化社会にあって理系は就職、そして収入において勝ち組である。AI関連の研究職や技術職、さらにはコンサルティングや営業職といったいろんな職種で、理系人材は奪い合いになっている。

理系人材を企業がほしがる理由は、彼らが理系脳を持っているからである。理系脳は論理的に考えてものごとを判断・解決する能力に優れているという。

こうした社会の要求を受けて、教育機関も理系脳を育てる向きになっている。小学校では2020年度からプログラミング教育がはじまった。大学ではAI関連の学部がつぎつぎと新設されている。

すでに社会に出てしまっている僕たちはこうした教育を受けることはできない。しかし数年後には、学生時代に理系脳にみっちりと鍛えられた人材を相手に競い合うことになる。あるいは上司として、彼らを率いることになる。

時代遅れのポンコツ、と会社や若手社員にいじめられないように、いまからでも理系脳をきたえたほうがいいだろう。そうしないと古くなったおもちゃのように捨てられてしまう。

この記事では、理系が就職と収入で有利であるというデータと、理系脳と文系脳の特徴、その診断方法を紹介する。

理系脳と文系脳の特徴

人間は理系脳と文系脳にざっくりと分かれるといわれている。理系は理屈っぽいとか、文系は表現が豊かとか、そういうのである。このことは科学的には証明されていないけれど、理系っぽい考え方と文系っぽい考え方の2タイプの人間がいることを僕らはなんとなく感じている。

理系脳と文系脳ではどういう違いがあるのか。例えば美しいものを見たとき、理系脳と文系脳では感動の仕方が違う。文系脳は絵を描いたり、詩を書いたりしてその美しさを表現したいと思う。しかし理系脳はその規則性を知りたいと願う。じっくりと観察してデータをとり数値化することで、美しいということを証明したいと思うのである。

理系脳と文系脳、それぞれの長所をまとめるとこうなる。

理系脳の長所

  • 論理的思考力
  • 問題解決能力
  • 発想力
  • 検証力
  • 推理力
  • 数理処理能力

文系脳の長所

  • 語彙力(翻訳力)
  • コミュニケーション能力
  • 協調性の高さ
  • 感受性の豊かさ
  • 柔軟な考え方
  • ユーモアのセンス

理系脳と文系脳の診断方法

理系脳と文系脳を診断できる有名な問題がある。

Q あなたは300円(100円玉3枚)もっている。130円のお菓子を買った。おつりはいくら?

170円と答えた人は理系脳である。理系脳の人は、300円持っていて130円払うと論理的に考えて、300-130=170円のおつりであると結論づける。

70円と答えた人は文系脳である。文系脳の人はいつもの買い物の様子を想像して、130円の商品を買うときレジでは200円を出すから、200-130=70円のおつりになると計算する。

僕らは算数の時間に170円と答えるように訓練されているので、70円と答えた人は少ないんじゃないかと思う。こんなので診断なんかできないよ、うそつき、と思った方もいるかもしれないけれど、理系脳と文系脳の特徴がよくわかるよい問題だと僕は思う。だから怒らないでください。

理系脳と文系脳の診断方法には、腕を組んだときにどちらの腕が上にあるかとか、数列の好みとか、他にもあるけれど、この記事では紹介しない。紹介しない理由はこの問題がいちばんしっくりきたから、他のはウソ臭かったからである。いやいや、紹介しろよ、と思った方、いじめないでください。

話が逸れちゃったけど、次からは理系が就職と収入で有利という事実をデータでみていく。

理系は就職で有利

理系の学生は研究職や大手メーカーへの就職を目指すのが、かつては一般的だった。しかしいまはそれら以外にも、インターネット関連の会社やマスコミ・サービス・インフラ業界など、さまざまな分野の企業に就職を決めている。

現在の理系学生の就職先はこんな感じである。

  1. 研究や開発など、専門性をいかす仕事
  2. 生産管理や品質管理など、理系の知識や考え方をいかせる仕事
  3. 金融やコンサルタント、営業など文系と理系どっちでもいける仕事

つまりは理系脳の需要が高まっているため、理系の学生はいろんな分野の企業からひっぱりだこなのだ。たとえば営業職なんかは商学部や経済学部など文系学生の就職先というイメージがあるけれど、いまはそんなことないのである。

というのも、かつては文系学生の就職先といわれていた職業でも、数値やデータを分析したり、ものごとを論理的に考えたりできる理系脳をもった人材がほしいという企業が多いのである。

また理系学生は大学時代に、仮説と検証をくりかえすことを嫌というほど叩き込まれる。仕事においてもPCDAをぐるぐるとまわしてくれるんじゃないかという期待がある。文系学生にとってはちょっときびしい時代になった。

就職に理系が有利なのは、ビッグデータの存在も大きい。ビッグデータは2010年代にメディアや情報サービス業界で注目されはじめたが、いまはどの分野の企業でも利用している。製造や流通、小売り、金融なども例外ではない。

こうした流れのなか、データサイエンティストなる新しい職業もでてきた。データサイエンティストとはビッグデータの処理や分析をする人材である。

データサイエンティストの仕事はそれだけではない。彼らはその膨大なデータを使いこなして、ビジネス上の問題点や課題を見つけだす。そして解決方法までをも提案するのである。

データサイエンティスト協会のホームページによると、この職業に就くには、基礎となるデータサイエンス力とデータエンジニアリング力、そしてビジネス力が必須スキルだという。

ビッグデータを活用するのが当たり前の時代にあって、データを分析したり世のなかのニーズを読んだりといった理系脳の活躍は大いに期待されているのである。

理系は文系より年収が高い

高校時代の得意科目別年収

高校時代の得意科目とその後の年収をみると、得意科目が国語や英語だった学生より、数学や理科だった学生のほうが年収は高くなっている。理系科目が得意だと年収は高くなるのである。

社会はどうなんだ? と思った方、僕もそう思ったので頭をひねってみた。社会が得意だと年収が高くなるのは、歴史から学べることが多いということなのだろう。成功者や経営者には歴史小説や伝記、あるいは論語などの古典をバイブルとする人は多い。歴史はくりかえすというし、人間の本質というのはそれほど変わっていないのだろう。そういうことなのだ。

データサイエンティストの年収

次のグラフはデータサイエンティストの年収である。彼らのおよそ半分は年収700万円を超える。およそ20%の人は1000万円以上もらっている。ほかの仕事と比べても、年収はかなり高めといえるだろう。うらやましいですね。

理系脳を育てるおすすめの本

AI時代に読んでおいたほうがいい教養書や、やさしく学べる解説書など、理系脳に関わる話題の本を紹介する。

『教養としてのコンピューターサイエンス講義 今こそ知っておくべき「デジタル世界」の基礎知識』

この本はプリンストン大学の人気講義を書籍化したもので、コンピューターサイエンスの歴史から最先端までを体系的に学ぶことができる。著者のブライアン・カーニハンはコンピューターサイエンス界ではとても有名な人物である。内容は一般人向けの講義がベースになっていて、文章も語り口調で書かれている。初心者でもすらすらと読み進めることができる。

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『いきなりサイエンス 日常のその疑問、科学が「すぐに」解決します』

この本はニューヨークタイムズのベストセラーになった。「食べものを落として何秒以内ならいけるの?」とか「確実にしゃっくりを止める方法」とか「股間を蹴られるのと出産どっちが痛い?」とか、こういう科学ネタが37個も載っている。どうですか、気になるでしょう? と、好奇心をこちょこちょとくすぐられている気分だ。専門用語なんてものは探しても見つからない。うんちく好きには必読書である。

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『文系の人にとんでもなく役立つ! 理系の知識』

この本は文系の人がちょっと近寄りたくない理系の知識をわかりやすく解説している。「宇宙の端っこってどうなってるの」や「携帯カイロはどうやって熱くなるの」「掃除機は猫の舌を参考にした」という雑学から、「iPS細胞は何がすこいの」という最先端の技術まで、20ジャンル280!のネタが載っている。ぜんぶ読み終わったときには理系を名乗っていいと思う。

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『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』

「良い理論と悪い理論の違いとは?」とか「科学のあり方をきちんと判断するには?」とか、紹介文にはむずかしそうなことを書いているし、新書だし、手に取らない人は多いと思う(たしかにポテトチップスをぽりぽりと食べながら読むような本ではない)けれど、科学的な考え方を身に付けたいという人は読んでおいたほうがいい本である。仕事でも生活でも役立つ、新しい視点を与えてくれる。

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理系脳を育てるおすすめのゲーム

本なんて読んでられない、なんだっておれは実践派だから、という人には理系脳を伸ばすゲームがおすすめだ。ゲームを楽しんでいるうちに、理系的なスキルや考え方が身につく。家族で遊べば、1ヶ月後には立派な理系一家になっていることだろう。

ブロックス

ブロックスは卓上の陣取りゲームである。ルールは、プレイヤーごとに形の違う21個のピース(テトリスみたいなの)を持ち、それをボードのマス目においていく。すべてのプレイヤーがピースを置けなくなったらおわりというもの。ブロックスはシンプルなゲームのくせしてとても奥が深いので、はまってしまう人が続出中らしい。家族や友だちとやるとほんとうに盛り上がる。

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ポリドロン

ポリドロンは世界50カ国で補助教材として採用されているパズルである。遊び方は、正三角形や正方形などの平面を組み合わせて、立体的な形を作っていくというもの。たてものやどうぶつ、のりものなど、工夫次第でいろんなものが作れる。子どものころからこういうので遊んでいると、いまとは違った人生があったのではないか、そんなこと考えちゃうほどの遊具である。東京書籍のホームページにいろんな作品が載っているので、興味のあるかたは見てきてください。

東京書籍のホームページで『ポリドロン』をみる

マイクロビット

マイクロビットは、イギリスのBBCが作ったポケットサイズの教育用コンピューターボードである。プログラミングを遊びながら学ぶことができる。英国では11から12歳の子ども全員に無料で配っているという。どのようなものかは公式ホームページで確かめてください(英語サイトだけど、上のバーのLANGUAGEをJAPANに変えると日本語になる)。プログラミング教育は2020年から日本でも始まった。「プログラミング、おじさん知らないの?」と、近所の子どもたちにバカにされる日も近い。

『マイクロピット』の公式ホームページをみる

理系脳を育てるオンライン学習

自宅で学べるAI関連のオンラインスクールも続々と登場している。ここでは有料のスクールではなく、総務省統計局が運営している統計学が学べるサイトを紹介する。はじめに紹介するデータサイエンス・スクールではオンライン講座が無料で受講できる。

データサイエンス・スクール 統計力向上サイト

データサイエンス・スクールでは、「ビジネスに役立つ統計講座」や「プレゼングラフ作成のポイント」を学べるほか、オンライン講座を無料で受けることができる。「社会人のためのデータサイエンス入門」から「誰でも使える統計オープンデータ」まで、オンライン講座は入門・実践・活用に分かれている。自分のレベルに合わせて学ぶことができる。

データサイエンス・スクール 統計力向上サイトにいく

なるほど統計学園高等部

なるほど統計学園高等部では統計思考力と統計リテラシーの基礎知識が学べる。たとえば、統計学で問題の解決をはかる手法「PPDAC」の手順を解説している。PPDACとは「問題の発見(Problem)」「調査の計画(Plan)」「データの収集(Data)」「分析(Analysis)」「結論(Conclusion)」の頭文字をとったものである。

なるほど統計学園高等部にいく

なるほど統計学園

姉妹サイトのなるほど統計学園もおすすめだ。こちらのサイトでは、統計データを調べたり、統計グラフを作ったりできる。なかでも統計データは見ているだけで勉強になる。いまぱっと目についたものを例にあげると「主な山の高さ」は1位のエベレスト(8,848m)から15位のミニャコンカ(7,556m)まで載っている。富士山(3,776m)って世界ではそんなに高くないんだ、とちょっと落ち込んだ。

なるほど統計学園にいく

理系脳はコミュニケーションが苦手

ここまでは理系脳ってすごいね!ということばかりを書いてきた。文系脳に誇りを持っている方のなかには、いらいらしている人もいるかもしれない。だからさいごに、理系脳の悪口を書いちゃおうと思う。

理系脳はコミュニケーションをとるのが苦手である。たとえば会議では、なに言いたいのかわからんとか、もっと要点をまとめてくれとか、話がわかりにくいというツッコミを受けることがある。

理系脳の人は正確さにこだわるあまり細かすぎるきらいがある。彼らとしてはわかりやすいように一から十までを順序立てて説明しているのだけれど、その丁寧さがほかの人にとっては冗長なので、だらだらとじゃべるな、簡潔にまとめろ、という指摘を受けるのである。

ツッコミを受けたあとの彼らはどうするかというと、さらに詳しく細かく丁寧に説明してまわりを呆れさせるか、あるいはあきらめて黙っちゃうか、のどちらかである。どちらにしても印象はよくない。

会社というのはいろんな人が集まっている。理系脳タイプもいれば、文系脳タイプもいる。なかには理屈っぽいのが大嫌いという人もいる。そのなかで相手に理解してもらうには、わかりやすい言葉を選ぶこともときには必要なのだ。たとえ話や比喩を使ったり、細部をはしょって全体の雰囲気を大まかに伝えたり、という柔軟性がほしいのである。

なんだか説教くさくなっちゃった。おしまい。

まとめ

この記事をまとめるとこうなる。

  • 科学的には証明できないけれど、人間は理系脳と文系脳に分かれている(らしい)
  • 理系脳と文系脳は相反する特徴をもつ
  • 美しいなにかを見つけたとき、文系脳が絵を描くとなりで、理系脳はデータをとり数値化する
  • 理系は就職で有利である
  • 理系脳はデータを分析したり、論理的にものごとを判断したりするのが得意である
  • 企業はそういう人材がほしい
  • 学生時代の得意教科が文系より理系の人のほうが、将来的に年収が高くなるというデータがある
  • そういうことなので、いますぐ理系脳を鍛えましょう
  • おすすめの本とゲームとオンライン学習サイトを紹介します
  • 理系脳は、コミュニケーションをとるのがとても下手である
理系は就職、収入で圧倒的に有利だった 理系脳・文系脳の特徴と診断方法