教養を身に付けたいけど、時間がない人の流し読み読書術

教養を身に付けたいけど、時間がない人の流し読み読書術

なにかと忙しい毎日。教養を身に付けたいけど、本を読む時間が取れない。読書スピードが遅くてたくさんの本を読めない。そんな悩みは熟読を止めるだけで解消される。正しい流し読みができると、1日1冊以上の本が読める。

じっくり読んだって、時間が経てば細部は忘れてしまう。大切なポイントを押さえる読書術を身に付けよう。

熟読の習慣から抜け出す

小学生のとき、本はじっくり読みなさいと教わった。優秀なのは、一字一句もらさずに読める人、さらには行間まで感じとれる生徒だった。大人になった今でも、僕らの身体に染みついた熟読の習慣は、離れない。

だけど、熟読を続けているかぎりは、1日に1冊の本ですら読み切ることはできない。読書スピードが遅い人は、1ページに5分くらいかかるはず。300ページの本だったら、ざっと25時間だ。1日中読書をしていても、1冊の本さえ読みおわらないなんてバカげている。幅広い教養は、いつまで経っても身につかない。

エビングハウスの忘却曲線いくらじっくりと本を読んだからって、本の内容を100%覚えるなんて不可能だ。たとえ覚えられたとしても、次の日には半分以上忘れてしまう。すべての文章を頭の中に放り込もうとする読書方法は、無駄が多いのだ。

読書で大事なのは、自分のほしい情報を得ること。知識や気づきが自分の中に残ることだ。ほしい情報が手に入りさえすれば、それが本に書いてあるたった1%の情報だったとしても構わないのだ。

100%の理解は目指さなくていい。1冊の本を深く読み込んで、その本のすべてを覚える必要なんてない。そんな時間があるなら、100冊の本を流し読みして、本当に必要な1%を100個集めるほうがいい。そのほうが、よっぽど教養は身につく。

本を読む時間がない、読書スピードが遅いという悩みは、熟読をやめれば解消される。読書に対する発想を転換して、必要な部分だけをツマミ読みする読書術を身に付けよう。

速読できる本を選ぶ

効率的に教養を身に付けるには「読みたい本」ではなく「速く読める本」を選ぶといい。

  1. 読みたくない本
  2. 速く読む必要がない本(小説、翻訳書など)
  3. 速く読める本(ビジネス書、新書など)

流し読みでの、本の選び方読書を効率化するには、2の「速く読む必要がない本」の割合を減らし、3の「速く読める本」の割合を増やす。1はそもそも読みたいとも思わないので、手には取らないだろう。勘違いしてほしくないのは、1の本にも価値があるということ。いまの自分にとっては必要のない本というだけだ。

速く読める本とは、全体を通してのストーリーがない本。どのページから読みはじめても、なんの問題もない本のことだ。のちほど説明する流し読み読書法で、知識や気づきは十分に吸収できる。

速く読む必要がない本とは、小説のように物語性がある本のこと。主人公や、その他の登場人物たちの心の動きを味わいながら読むので、どうしても時間がかかってしまう。このタイプの本を流し読みしたところで、教養は身につかない。じっくりと読むべきだ。

ビジネス本の中にも、速く読む必要がない本がある。たとえば何世紀にも渡って、多くの人々に読み継がれてきた本には、僕らの価値観を180度変える可能を秘めている。そんな本に出会ったときは、ページがすり切れるほど、じっくり読んだほうがいい。

読書スピードを上げる流し読みの4テクニック

読書スピードを上げる流し読みテクニック本を速く読むための、正しい流し読みテクニックを紹介する。

1「はじめに」と「目次」をよく読む

「はじめに」には、著者がその本を書いた目的や、全体を通しての要約が書かれてある。どんな文体で書かれているのか、何を伝えたいのかがわかる。全体の雰囲気をつかめる。

「目次」は、その本の地図にあたる。全体の構成や、話の流れが記載されているから、どの部分に目を通せば必要な情報が見つかるのかが予測できる。その部分を熟読するすると、ほしい情報は手に入る。全部を読む必要はないのだ。

2 最初と最後の5行だけを読む

本文は、基本的には「章」「節」「項」という3つの単位で構成されている。それぞれの単位の最初と最後の5行だけを読んでいく。

ビジネス書などの、なにかを解説するタイプの本は、最初と最後の5行を確認すると、その単位で著者が言いたいことがだいたいわかる。ざっと流し読みしながら、自分に必要だな、もっと詳しく知りたいな、と思う文章が出てくれば、その部分を丁寧に読み直せばいい。

3 キーワードを意識して読む

人間は、探しものがはっきりしていると、それと関係がある情報を見つけやすくなる。たとえば、甘い食べ物のことばかり考えているときには、チョコレートやケーキなどが自然と目に入ってくる。悩みごとがあるときには、会話やテレビで関連する情報が出てくれば、すばやく耳が反応する。

また、Googleなどで検索をするときにも、キーワードがはっきりしていたほうが、欲しい情報にたどり着きやすい。そもそも検索するキーワードがないと、調べることができない。

読書をするときも、キーワードを決めて、その言葉を探しながら流し読みをする。キーワードを定めることで、重要なところと重要でないところがはっきりと分かれる。重要でないところは、どんどんスピードを上げて読めばいい。

キーワードを意識しながらページをめくれば、関連する情報が次々と目に飛び込んでくるはずだ。

4 読書リズムにメリハリをつけて読む

一定のリズムで読んでいると、スピードに頭が慣れてきて、意識がほんやりしてくる。まったく頭の中に入ってこない状態だ。気がつくと何ページか進んでいたというのは、多くの人が経験しているはず。

意図的に緩急をつけることで、だらだらとした読書は回避できる。じっくりと読んだり、スピードを上げたりして、脳に刺激を与えよう。

気になったところは、ノートに書き写す

メモ帳本を読むだけでは、時間の経過とともに、知識や発見は自分の中から抜け出していく。どんなにたくさんの本を読んでも、1%の知識も残らないのでは意味がない。教養は身につかないし、時間の無駄だ。

本を読むときは、自分の好きなフレーズを抜き出すつもりで、気になった部分をノートに書き写していく。読書後に手元に残る引用リストには、1冊の本を読むことで自分が吸収した知識と気づきのすべてが記されている。リストを読み返すだけで、必要な知識を再確認できる。本の内容をだれかに説明することもできる。深い読書効果が得られるというわけだ。

時間がない人の流し読み読書術;まとめ

  1. すべての本を熟読するのはやめよう。
  2. 速読に向いた方を選ぼう。
  3. 流し読みのテクニックを使おう。
    1. 「はじめに・目次」をじっくり読む。
    2. 最初と最後の5行だけを読む。
    3. キーワードを意識して読む。
    4. 読書リズムにメリハリをつける。
  4. 本を読みながら、気になったところはノートに書き写そう。
教養を身に付けたいけど、時間がない人の流し読み読書術