学校や仕事でノートを取るけれど「なんだか、うまく活用できてない気がする」という人は多いはずだ。
ノート術の本を読んでも「期待したほどの効果がなかった」「そのうち、いつも通りのノートの取り方に戻っていた」という経験をした人もいるだろう。
そんなノートの取り方に悩みを持つ人たちの、いろいろな「なぜ?」に答えていく。いっしょに解決しよう!
mokuji
1書いた字が汚すぎて読めない
この悩みの解決法は2つ。ひとつは、きれいな字でノートを取ること。もうひとつは、記憶がはっきりしているうちにノートを書き直すことだ。
きれいな字でノートを取る
きれいな文字でノートを取るのはむずかしくない。「六度法」を意識すれば、きれいに速く書くことが可能だ。
六度法には次の3つのルールがある。
- 右に6度上げて書く
- 右下に重心をかける
- 平行する線は等間隔に
きれいな字でノートを取るには、まず六度法を意識すること。次に殴り書きはせず、ノートの上でペン先をすべらせるように書くことだ。そうすれば、読みやすい字が書ける。
ノートに書き直す
会議や商談のあと、メモを書き直すと頭の中の情報を整理できる。
たとえば、商談中のメモはノートの左ページに取り、右ページは空けておく。商談後、まだ記憶が鮮明なうちに、左ページのメモを右ページにまとめる。記憶が薄れる前にアウトプットすることで、記憶が強化される。
あとで見返したときには、感覚的な右脳が左ページを認識し、商談時の雰囲気をはっきりと呼び起こす。理論的な左脳が右ページを認識し、論理的に商談内容を組み立てる。(脳は左右対称に認識する)
商談後は、コーヒーでも飲みながらノートを整理するのがおすすめだ。
2いつノートに取ったメモなのかわからない
はじめに日付を書く
ノートを取るときは、まずその日の日付を書くことだ。ノートを順番に使っていけば、メモは時系列に並ぶ。これでいつのメモなのかわからなくなるのは解決する。
1冊のノートにまとめる
すべてのメモを1冊のノートにまとめるという方法もある。ノート、メモ帳、資料の端っこなど、あちらこちらにメモを取ると、書いた紙を無くしたり、メモ同士の関係がわからなくなったりする。1冊のノートにまとめればすべて解決できる。
メモの他にも、本のコピー、雑誌や新聞の切り抜き、映画や美術館のチケット、名刺、割りばしの袋など、なんでも1冊のノートに貼り付けるとライフログノートになる。あとで見返したとき、当時の自分の興味や関心のあったことがはっきりと思い出せる。ノートに貼り付ける行為が、体験・経験を記録するだけでなく、記憶する手助けにもなる。
3見返したとき、どこが重要なのかわからない
手書きは自由だ
この悩みは、パソコンやスマートフォンでメモを取る人に多い。解決策は、紙のノートにメモを取ることだ。
手書きでメモを取る最大の利点は、自由に書けること。重要だと思ったところには、大文字で強調したり、丸や四角で囲んだり、図やイラストを入れたりできる。あとで見返したとき、重要なところはすぐにわかる。パソコンやスマートフォンにも良いところはあるが、自由度は紙のノートの勝ちだ。
ノートは3色以内でまとめる
情報に優先順位をつけるためだ。普段は黒または青でノートを取り、重要なポイントや追加、修正点には赤を使う。ノートを見返したとき、どこが重要なのかわかりやすい。
色が多すぎると目がチカチカする。色によって重要度を決めていたとしても、すばやくポイントを見直すには不向きだ。とりあえず色をつける癖がつき、情報に優先順位をつけること自体ができなくなる。ペンの色を少なくすることで、重要なポイントを見分ける力も鍛えられる。
4仕事で安いノート使っていいの?
自社の商品に合うノートを使う
ノートを取る手元には、お客様の視線が行きやすい。とくに営業職はノートの見た目には気をつかうべきだ。お客様が抱くイメージに影響する。キャラクターもののノートを使っていると社会人としての常識を疑われるし、上質なノートを使えば信頼できる人だと思われるかもしれない。
営業職の場合、自社の扱う商品の価格帯に合ったデザインのノートを使うのが好ましい。高価な商品を扱っているのに、安っぽいノートでは説得力に欠ける。業種によっては、ユニークなデザインや特徴的なブランドのノートを使い、自分をアピールするのも効果的だ。
それほど価格が高くなくても、見た目のいいノートはある。文房具店やネットショップで探してみよう。
5メモを取った紙が行方不明になる
情報は1箇所に集める
メモを取るノートは1冊に決め、必ずそこに書くようにすれば、紛失することはなくなる。問題は、そのノートをいつも持ち歩いているとは限らないことだ。
いつものノートがないときには、手帳や付箋、近くにある紙にメモを取ることになる。このメモ書きをあとでノートに貼り付けるか、書き写すかして紛失を防ぐしかない。メモは付箋に書き手帳に貼り付るなど、自分が忘れないルールを決めておこう。
ノートは両側から使う
商談のメモと企画のアイデアがひとつのノート内で混ざるのは混乱のもと。そこでノートの両側から使い始めるのはどうだろう? 商談メモは左開き、アイデアは右開き、両者が出会ったらそのノートはそこで終わり。
どちらから開くかで、自然と意識も切り替わるはずだ。
6使い終わったノートは置いておく?捨てる?
そのノートを見返す必要がないのであれば、捨ててしまっても構わない。でも、たとえ捨てるとしても、ノートはしっかり取るべきだ。手で書くという行為には記憶を定着させる働きがある。ノートを取っている時点で、すでに効果がある。
ノートの役割は記憶の強化だけではない。ビジネスや自分の問題を解決するためにも使えるし、形にならないアイデアのかけらを書き留める方法もある。思い出のつまったライフログノートにもなる。ノートの取り方によっては、自然と置いておきたくなるのだ。ぜひ、ノートの可能性を広げてほしい。
7ノートを取っても役立っている気がしない
ノート術の本を読む
まずはノートを使って何ができるのか知ることだ。ノート術の本や雑誌のノート特集の記事をいくつか読むと、ノートにはさまざまな使い方があるとわかる。自分では気づかなかったノートの可能性が実感できるはずだ。
最低限のルールだけ決める
もしノートが有用だとわかっているのに、それでも役立っている気がしないなら、上手く書こうとしすぎなのかもしれない。細かくルールを決めすぎると、ノートの取り方が窮屈になる。自由がなくなる。義務感も生まれる。ノートを取るのが作業なり嫌いになる。最低限のルールだけ決めるのが継続のコツだ。
8ノート術の本や雑誌記事みたいに、きれいに書けない
ディスプレイ用ノートには実用性がない
本や雑誌の記事は、多くの人に見られることを前提として作っている。「私もこんな風にノートを取りたい」と興味を持ってもらうために、見た目にも読みやすさにも気を配っている。本や雑誌を売るためのディスプレイ用のノートだ。
僕らは人に見せるためにノートを取っていない。ノートを取る目的が違うのだ。見た目が汚くても自分にとって有用であればそれが最高のノートだ。
ノートは見た目より実用性だ
美しくノートをまとめることが目的の人もいる。それがノートを取り続けるモチベーションになっているなら、すばらしいことだ。ただ、見た目優先で、実用性が損なわれでは困る。
「細かな文字がびっしり並んでいる」「たくさんの色を使っている」などは、どこが重要なのがわからないノートの典型だ。見た目に気を使いすぎるあまり失敗を恐れ「とっさにメモできない」なんて末期症状と言ってもいい。
思い当たりがある人は、多少の見た目は犠牲にし、実用性にこだわってもらいたい。