メモは、仕事のミス防止に役立つ最強のスキルだ。打ち合わせや会議で決まった重要事項やタスクを記録としてきちんと残せば、うっかりミスや抜け漏れを防げる。
仕事のメモの書き方で大事なのは、きれいな文字や書き込む速さではない。未来の自分にとっての読み返しやすさを意識したメモの書き方をマスターしよう。
打ち合わせや会議が始まる前のひと手間
1日付・場所・議題・出席者を書く
打ち合わせや会議が始まる前に「日時」「場所」「議題」「出席者の名前」を書いておくのはメモの基本。出席者を記しておけば、書き忘れがあったり、内容の正確さに自信がなかったりした時、メンバーに確認できる。さらに日時や場所、議題を書いておけば、内容を思い出しやすくなる。ノートの中から必要なページを見つけ出すのもたやすいはずだ。

2ページを分割する
記入する内容の種類に応じて書くスペースを変えれば、あとで読み返しやすい。ノートに線を引き、自分オリジナルのフォーマットを作ろう。「打ち合わせや会議の内容」「自分でやるタスク」「人に頼むこと」の3分割をベースにして、自分が書きやすいようにアレンジするといい。

3タスクや依頼には締め切り日時を書く
「自分でやるタスク」や「人に頼むこと」をメモする時は、締め切り日時まで書き込む。事前に「 月 日 時まで」と書いておけば、メモする時に締め切りの設定を忘れずに済む。
それでも不安な人は、あらかじめノートに付箋を貼っておき、そこにタスクや依頼を書き込むといい。打ち合わせや会議が終わった後、机の周りや手帳に貼り直せるので、忘れにくいはずだ。

ページをすっきりさせる仕事のメモの書き方
4記入する文字はなるべく省略する
一文字ずつ丁寧に書くために、メモに書き込む文字数は減らす。よく使われるのは「画数が多い漢字をカタカナで書く」テクニック。ここでは、さらに2つの省略テクニックを紹介する。
ひとつめは、文字数の多いフレーズの「途中の文字をアンダーバーに置き換える」テクニック。意味合いごとにいくつかのかたまりに区切り、それぞれのかたまりの2文字目以降を、あとでわかる範囲で省くのだ。
たとえば、「営業ルートの新規開拓強化週間」の場合、「営業」「ルート」「新規開拓」「強化週間」の4つが意味のかたまり。それぞれの2文字目以降を省略し、アンダーバーでつなげると「営_ル__新___強___」となる。アンダーバーの長さは、省略した文字数で長さを変えておくと、あとで思い出しやすい。
ふたつめは、2つの漢字を組み合わせた「オリジナル文字を作る」テクニック。このテクニックには、2つの文字の一部を組み合わせる方法と、どちらかの一部にもう片方のふりがなの1文字目を組み合わせる方法がある。

5空白を作る
仕事のメモは、ノートを文字で埋めようとせず、空白スペースを作っておくと読み返しやすい。行と行のあいだは、1行以上空けておく。ノートの右端ギリギリまで書き込むのはやめて、右端から3分の1ほど余白を残しておくのもおすすめだ。
空白を作っておくと、追加でメモを書き足す時に、限られたスペースに収めるために小さな文字で書き、読みにくくなるのを防げる。
打ち合わせや会議ごとにページを変えるのも忘れずに。1ページにつき1案件にしておくと、あとで検索しやすい。

6大事なポイントは目立たせる
メモ中に重要だと思った部分は、読み返した時に目立つように強調しておく。といっても、わざわざペンの色を変える必要はない。重要部分の文字を大きく書くだけでも十分目立つ。線で囲ったり、シンプルな絵文字を書いたりするのもおすすめだ。
「急ぎの案件は爆発しているように囲う」「重要な案件は楕円で囲う」などのルールを決めておけば、見返した時に特定の案件だけをすぐに探し出せる。

7簡単な図解に置き換える
複数の事柄の関係は、文字で説明するより図解したほうが読み返した時にわかりやすく、思い違いをする恐れもない。図解といっても、「→」や「=」などのシンプルな記号で示すだけで十分だ。打ち合わせ中や会議中は文字で記録しておき、終わった後、記憶がはっきりしているうちに図解を追加してもいい。

8資料には直接書き込まず、照合番号を振ってノートに書く
資料が配られると、話し合った内容を資料に直接書き込む人が多い。だが、資料とノートの両方に分けてメモを書いてしまうと、うっかりミスやタスクの抜け漏れが起こりやすい。ミスを防ぐには、仕事中のメモはすべてノートに書くと決め、ひとつの場所にまとめておくのが大事だ。
下の図のように、資料のメモしたい部分に「A」や「①」などと書いておき、ノートとのあいだにリンクを貼るといい。

曖昧さを回避する仕事のメモの書き方
95W1Hを意識する
仕事中にメモする時は、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」の6項目を常に意識すること。書いている時は話の流れがわかっているので、メモを省略しても気にならない。だが、時間が経ってから読み返すと、内容を忘れ、思い出せないケースがよくある。
油断していると、5W1Hの指す内容がはっきりしないことがよくあるので、より具体的にするためにツッコミを入れるクセをつけるといい。曖昧な表現を減らせば、相手と自分のあいだに認識のズレが生じる心配がなくなる。

10決まったことと決まらなかったことを書く
仕事でメモする時は、書かなくてもわかるはNG。打ち合わせや会議では、「決まったこと」と「決まらなかったこと」をメモする。その場ではずっと覚えていられるつもりでも、忘れるリスクがあるからだ。
とくに決まらなかったことをメモしておかないと、読み返した時に「何も書いてないけど、結局どうなったんだっけ?」と判断に困るケースがでてくる。このひと手間で思い違いや思い出せないといった仕事のミスを防げる。

11使っているノートやメモ帳に目次を作る
メモしたページが増えるほど、読み返したい内容を探し当てるのに手間がかかる。打ち合わせや会議が終わるたびに目次を作っておくと、なかなか見つからないという事態が防げる。
「日付」「打ち合わせ・会議名」「内容の要約や重要なキーワード」を表紙の裏ページなどに書いておこう。

内容を正確にする仕事のメモの書き方
ここまで、読み返しやすくするテクニックを紹介してきた。続いて、メモの内容を正確にする工夫を紹介する。
メモ内容の正確さは、セルフチェックだけでは限度がある。紹介するのはメモの誤りの有無を「自分以外の人の目」を利用してチェックする方法だ。若手社員には、少しハードルが高いかもしれないが、余力があればぜひやってほしい。仕事のうっかりミスや抜け漏れがほぼ100%なくなると約束する。
12打ち合わせや会議の終わりに、重要なポイントを口頭で確認する
打ち合わせや会議が終わった後に出席者全員の前で、特に重要なものを中心にメモした内容を口頭で読み上げる。全員の認識にズレがないかどうかを簡単に確認できるおすすめの方法だ。
13小さな声で口にしながらメモを書く
出席者が気心知れた間柄なら、メモをしている時に内容を独り言のそぶりで声に出してもいい。認識が間違っている場合、指摘を入れてくれることがある。
14メモした内容を関係者にメールで送信する
メモした内容を出席者全員にメールで送り確認してもらえば、メモ内容の正確さのチェックは100点満点だろう。箇条書きで簡潔に書けば、送られた相手も自分の認識の確認になるので一石二鳥だ。
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