定時で帰れる!仕事がはかどる目標設定&時間管理のコツ12

定時で帰れる!仕事がはかどる目標設定&時間管理のコツ12

職場には2種類の人間がいる。定時で帰れる人と帰れない人だ。どの職場をみても、定時で帰る人はいつも定時で帰り、残業する人はいつも残業している。

いつも定時で帰る人が落ちこぼれだとか、怠け者だとかいうわけではない。なかには自他共に窓際だと認める人もいるだろうが、だいたいは仕事がよくできる人たちだ。若くして管理職になる人も多い。

定時で帰れるかどうかは、仕事を始める前の準備で決まる。この記事では、仕事がはかどる目標設定と時間管理のコツを紹介する。

仕事がはかどる目標設定のコツ5

やみくもに仕事をしているだけでは、定時には帰れない。目標とはゴールだ。ゴールが見えるからこそ、人はやる気が出て仕事がはかどる。ゴールが決まらないと、帰っていいのか、残業したほうがいいのか、その判断すらできない。

まずは仕事がはかどる目標設定のコツを見ていこう。

1 目標は具体的に設定する

「目標は具体的に設定しなさい」。自己啓発やスキルアップに関する本には必ずといっていいほど書かれている。「具体的に」とは、目標を「数値化」して「期限」を決めることだ。

なぜ目標は具体的に設定するのか? それは目標を脳に送る注文書だと考えるとわかりやすい。

何かを注文するとき、買う側は数量と納期を伝える。注文書には「3日後に〇〇を100個ほしい」と書く。作る側はこの数字をもとに仕事を進める。

数量と納期がわからないと、作る側は大変だ。何個作るのか、いつまでに作るのか、が不明だと仕事には取りかかれない。がんばろうにもがんばれないのだ。

僕らの脳も同じだ。具体的に数字で伝えてあげないと、なにも生み出してはくれない。どれだけがんばったらいいのかがわからないから、やる気も起きない。

数字が入るのと入らないのとでは、仕事のはかどり具合はまったく違ってくる。「企画を作ろう」とパソコンに向かうだけでは一行も進まない。「30分で企画書のアイデアを10案書き出そう」と目標を具体的にして、やっとやる気のスイッチが入り、仕事がはかどるのだ。

2 目標は細かく設定する

目標を細かく設定するのは、年間より月間、月間より週間の目標のほうが達成できそうだと感じるからだ。

たとえばダイエットの計画を立てるとき、次の3つの目標ではどれが達成しやすく感じるか。

  1.  1年間で12kgやせる
  2.  1ヶ月で1kgやせる
  3.  1週間で250gやせる

きっと3番だろう。さらに細かく「1日30gやせる」という目標だと、食事制限や運動をしなくても達成できそうな気分になる。目標を細かく設定するのは、ダイエットに対する心理的な負担を大きく下げるのだ。

やる気はそれほど長くは続かない。1年間を通して何かを続けられるほど人間の意思は強くはない。実現がむずかしいと感じる目標では三日坊主でおわる。

何かを達成するためには、目標を細かく分け、小さなハードルを毎日乗り越えるほうがうまくいく。今日はうまくいったから明日もがんばろうとなる。小さな達成感が明日のやる気につながるのだ。

3 目標は習慣化する

習慣化は目標を達成する近道だ。目標達成につながる行動を毎日の習慣に落とし込むと、脳は自動的にその行為を実行してくれるようになる。いちど習慣化したあとは、目標が達成されるのをただ待つだけでいい。

たとえば歯みがきにはいくつかの目的がある。虫歯や口臭を防ぐ、口の中を爽やかに保つなどだ。

だけど毎回、目的を意識して歯をみがく人はいない。毎日歯をみがくのは、その行為が習慣になっているからだ。子どもの頃から1日に3回歯をみがいてきた結果として生活の一部になっているのだ。

習慣には強い拘束力がある。歯をみがくな、といまさら言われても困る。いちど習慣になると、その行為をやらないと気持ちが悪いのだ。歯みがき本来の目的は習慣化によって自動的に達成される。

習慣化するまでには努力が必要だ。苦痛も感じる。だけどいちど習慣化したあとには、努力も苦痛もない世界が広がっている。習慣化さえできれば、目標達成はすでに約束されているのだ。

4 目標はちょっと高めがちょうどいい

目標はちょっと高めに設定する。低すぎるとやる気が起きないし、高すぎると途中で諦めてしまうからだ。具体的には自分の能力の10%アップに設定する。

10%アップには根拠がある。ある大学で立ち幅跳びの実験をおこなった。一回目は、学生にはなにも言わずに跳ばせて記録をとった。2回目は、跳ぶ前に学生を3つのグループに分けた。

  1. 目標を設定しないAグループ
  2.  1回目の10%アップを目標に設定するBグループ
  3.  1回目の20%アップを目標に設定するCグループ

2回目の平均記録はこうなった。

  1. Aグループは1回目の98%
  2.  Bグループは1回目の105.5%
  3. Cグループは1回目の104.5%

もっとも平均記録が高かったのは10%アップに目標を設定したグループだった。

この結果から、記録を伸ばすには目標を設定したほうがいいことがわかる。さらには目標設定は10%アップが好ましいこともわかる。

目標は成長を後押ししてくれる。あと少しで手が届くからがんばれ、と背中を押してくれる。手を伸ばせば届きそうだと感じるちょうどいい位置にあるのが10%アップの目標なのだ。

5 重要な仕事は起床後5時間以内に入れる

旅行の準備をしているところを想像してほしい。洋服、下着、洗面用具などを、旅行バックにはどういった順番で入れていくだろう?

きれいに入れるには、まずは大きな荷物を詰め、そのすき間に小さな荷物を埋めていくのが正解だ。さきに小さな荷物を入れてしまうと大きな荷物が入らなくなる。

仕事の優先順位のつけ方もまったく同じだ。まずはその日でいちばん大きな仕事(重要だったり、難しかったりする仕事)を片付ける。細かな仕事からはじめると、大きな仕事をする時間がなくなるからだ。

起床後5時間以内に重要な仕事を入れるのには、脳の働きが関係している。人間の脳が元気なのは朝目覚めてからの5時間。午前7時に起きる人には、昼休みまでが仕事がはかどるゴールデンタイムだ。会議や商談なども午前中に入れるほうがまとまりやすい。

午後になると脳は疲労を感じはじめる。午前中のようにMVP的な働きは期待できない。午後に集中力が必要な仕事を入れるのは得策ではない。

重要な仕事は起床後5時間以内に済ませるのが鉄則だ。時間の経過とともに頭が働かなくなり、
ミスが増える。

残業は非効率だ。1時間残って残業をするよりは、1時間はやく寝て、その分はやく起きて働くほうが仕事がはかどる。

仕事がはかどる時間管理のコツ7

目標を設定したあとは時間管理が重要になる。定時で帰れるかどうかは、スケジュールの立て方で決まるからだ。

次は仕事がはかどる時間管理のコツを見ていこう。

6 月曜日の朝からスタートダッシュを決める

月曜日の朝からスタートダッシュを決める条件はそろっている。1日の中で人間の脳がもっとも元気なのは朝目覚めてからの5時間だ。同様に週単位では月曜日がもっとも疲労が少ない。

だけど多くの人は月曜日を慣らし運転で終える。エンジンがかかるのは火曜日あるいは水曜日だ。この仕事のリズムでは、疲れがたまる週の後半に仕事が残る。効率が悪くなり、残業が増える。

定時で帰りたいなら、仕事のリズムを見直そう。月曜日からスタートダッシュを決め、その勢いのまま火曜日、水曜日を乗り切る。週の後半は定時に帰宅して疲労を回復させる。金曜日の帰宅前には、翌週にまたダッシュできるように準備を整えておく。土日はゆっくり休む。これが仕事がはかどる1週間のリズムだ。

7 仕事には優先順位をつける

充実した1日を過ごせるかどうかは、出社後の5分間で決まる。出社後には目の前の作業にすぐに取り掛かるのではなく、まずは仕事に優先順位をつけよう。

優先順位をつけるときには、今日中にやるべき仕事と明日に回していい仕事を分けるのが大事だ。今日中にやるべき仕事がおわったらその日は及第点とする。

仕事を明日に回せると思うと気持ちには余裕ができる。「時間が余ったら他の仕事をする」くらいのゆとりを持つほうが、余計なプレッシャーを感じず、仕事がはかどる。仕事を詰め込みすぎてどれもが中途半端になるのは避けたい。

優先順位を書いたメモは残しておく。終業後にはその日の仕事を振り返り、充実した1日を過ごせたかを採点する。

採点方法は優先順位の番号を合計する。5つ仕事がおわった日は1から5までを合計して15点。3つしか仕事が終わらなかった日は1から3までを合計して6点だ。

この採点方法では、時間がかかる仕事が多い日は点数が低くなるため損だが、充実度のだいたいの目安にはなるはずだ。

8 毎日の仕事を振り返る

時間をうまく管理するためには「時間通帳」が役立つ。時間通帳は1日の主だった仕事を時系列で書き出したものだ。

時間通帳の作り方は次の3ステップだ。

  1. 毎日寝る前にその日の主だった仕事を時系列で5つほど書き出す
  2.  各仕事に費やした時間を記入する
  3.  各仕事の評価を記入する

評価は3段階。

  • A 成果が上がりとても充実した時間が過ごせた
  • B 可もなく不可もなく、予定通りに仕事が進んだ
  • C 予定通りに仕事が進まず、うまく時間が使えなかった

時間通帳で毎日の仕事を振り返り、Aが増えCが減るように心がけると上手な時間の使い方が身につく。

時間通帳で評価するのは、うまく時間が使えたかどうかだ。仕事の重要度は評価には関係しない。コピーをとるなどの簡単な作業でも、いつもは15分かかるところがその日は10分で処理できたなら、評価はAだ。

時間通帳では仕事の内容ではなく、仕事にふさわしい時間をかけたか、時間を大切にできたかが評価の基準になる。

1日24時間はすべての人に平等に与えられている。人生は24時間の使い方で枝分かれする。仕事が片付かない、1日があっという間に終わるという人は、時間管理に敏感になろう。

9 月火水の3日間で仕事の80%を終わらせる

1週間の仕事を100とすると、1日に20ずつやっていけば5日間でおわる計算になる。だからといって毎日20ずつ均等に仕事を割り振っていくのは愚策だ。

仕事はスケジュール通りには進まない。思うように契約がとれない、急ぎの仕事が割り込んだ、予定より時間がかかった、といった想定外の出来事はよく起こる。

バランス型や後半追い込み型のスケジュールは想定外に弱い。イレギュラーが発生すると、週の後半だけでは対応できず、残業や休日出勤をするはめになる。

1週間のスケジュールは前半逃げ切り型が理想だ。脳が元気な週の前半は仕事を多めにこなし、脳が疲れてくる後半は仕事を少なくする。

具体的には週の前半3日間で仕事の80%が終わるスケジュールをたてる。最初の2日間は1日平均の10%アップで仕事をする。月曜日と火曜日で仕事の60%をやり遂げる。水曜日は通常通り20%の仕事をこなす。

疲れがでてくる木曜日と金曜日は仕事を減らす。仕事量は2日間で週の20%にとどめる。週の後半は残業もなく、余裕を持って過ごせる。

週に10件の契約が営業ノルマなら、月火で6件、水に2件、木金で残りの2件を達成するスケジュールをたてる。

前半逃げ切り型のスケジュールはイレギュラーに強い。月火水で仕事の80%が終わるスケジュールを立てているため、少々仕事がはかどらないくらいでは致命傷にはならない。80%の予定が60%になったところで平均程度には仕事が進んでいる。木金での挽回は十分に可能だ。

10 作業には締め切りを設ける

残業が多く、終電近くまで仕事が終わらないのは、締め切りを設けていないからだ。「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というパーキンソンの法則がある。無限に時間があるから細かい部分が気になり、何度も手を加えてしまうのだ。

締め切りを設けるだけで作業の効率はよくなる。作業を始める前には、開始時間と終了予定時間を付箋にでも書いて、見えるところに貼っておく。それだけで仕事がはかどるようになる。

締め切りを設けるのには別の狙いもある。やる気のスイッチが入るのだ。人は締め切りがないとなかなか課題に取り組まない。締め切りが近くなってやっと腰をあげる。締め切り直前になるとやる気が出る現象を心理学では「締め切り効果」という。

こんな実験がある。「13日後に試験をする」と宣言したあと、試験の何日前から学生が勉強を始めるかを調べた。その結果、13日前から勉強を始めた学生はひとりもいなかった。試験前日に勉強を始めた学生は55%もいた。人が課題を後回しにする心理はとても強いのだ。

「はやく取り掛かったほうがいいのはわかっている。だけど体が言うことを聞かないんだ」という人には、締め切りを設けるのはぴったりの方法だ。

11 積極的に昼寝をする

朝夕の通勤電車では、多くのビジネスパーソンが幸せそうに眠っている。疲れて眠いのはわかるが、その仮眠は本当に必要なのだろうか?

朝夕の仮眠はメリットが少ない。午前中の目覚めたばかりの脳は1日のうちでもっとも元気だ。せっかく目覚めた脳を再び眠らせるのはもったいない。

また、夕方に仮眠をとると寝つきが悪くなり睡眠が浅くなる。ぐっすりと眠れず、翌朝に疲れが残る。

最近では人間の睡眠は6時間で十分という説が受け入れられている。睡眠時間が6時間の人と8時間の人では、年間で730時間の差ができる。730時間は約1ヶ月だ。この差はあまりにも大きい。必要となる睡眠時間には個人差があるが、人生を有利に進めるためには不要な仮眠はできるかぎり削りたい。

ただし、昼寝は別だ。15分の昼寝には3時間眠るのと同じくらいの効果があるといわれている。昼食後の眠気は我慢せず、少しだけでも眠ったほうがいい。横になる必要はない。椅子に座ったままのうたた寝程度で十分だ。

12 小刻みに休憩をとる

仕事中は休憩を小刻みにとるほうがいい。小刻みな休憩は集中力を高めるからだ。120分かかる仕事をするときは、あいだに15分の休憩を入れるより、30分おきに5分休憩をとるほうが集中力が保ちやすい。

別の仕事に移る方法もある。同じ仕事を何時間も続けていると中だるみが起き、効率が悪くなる。2種類の仕事を1時間ずつ交互に取り組めば中だるみがなくなり、仕事がはかどる。仕事の内容を変えることで集中力が維持できるのだ。

まとめ 今日は定時で帰ろう!

さいごに、仕事がはかどる目標設定&時間管理のコツをまとめておく。

  1. 目標は具体的に設定する
  2. 目標は細かく設定する
  3. 目標は習慣化する
  4. 目標はちょっと高めがちょうどいい
  5. 重要な仕事は起床後5時間以内に入れる
  6. 月曜日の朝からスタートダッシュを決める
  7. 仕事には優先順位をつける
  8. 毎日の仕事を振り返る
  9. 月火水の3日間で仕事の80%を終わらせる
  10. 作業には締め切りを設ける
  11. 積極的に昼寝をする
  12. 小刻みに休憩をとる

参考書籍:『「やる気はあるのに動けない」そんな自分を操るコツ』児玉光雄

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