報連相の目的は上司も部下も自分の評価を上げることである

報連相の目的は上司も部下も自分の評価を上げることである

入社して最初に習うことのひとつ「報連相」。上司は催促してくるけれど、はっきり言って面倒くさいし、いちいち行動を監視されなくてもまじめに働いてるから黙って見ててほしい。本当は隠している失敗もあるけど……というのが部下のホンネである。

そもそも報告、連絡、相談って似ているけど、それぞれの目的に違いってあるの? って思っている新入社員も多いのかも。

報連相の目的は上司も部下も自分の評価を上げることである

現在、ほとんどの仕事はパソコンと携帯電話があればできる時代なった。プレゼン資料や見積書はワードやエクセル、パワーポイントで作るし、取引先やお客様に送るのもメールである。新規の顧客以外、連絡をとるときには携帯電話に直接電話がかかってくる。

パソコンと携帯電話だけで部下と外部とのやりとりは完結していて、輪っかが閉じている。上司の入り込むスペースはないのである。外から眺めるだけでは部下が何をしているのかさっぱりわからないのだ。

会社はピラミッド構造になっている。新入社員には先輩の係員がいる。その上にはマネージャーがいる。マネージャーにはさらに上の管理職がいる。部長になっても、経営幹部という上司がいる。ピラミッドの頂点に到着するまでは報連相を求められ続けるのである。

上司が部下の動きや案件の進捗を把握したいのは、管理職会議などで自分自身が報連相をするためである。部下がうまく報連相ができないと怒られるのと同じように、上司も部下の管理ができていないと怒られる。つまり、上司は自分の評価を上げるために部下に報連相を求めるのである。

報連相をきっちりしてあげると、上司は喜ぶ。そして、自分の評価を上げてくれる部下を上司は高く評価するのである。人事考課表でいうところの、コミュニケーション系の評価を高くしてもらえる。

結局のところ、報連相の目的は、上司も部下も自分の評価を上げることなのである。

報連相の「報告」はサービスを意識する

報告は上司に対して情報提供をするのが目的がある。上司に喜ばれるような報告にはサービス精神が欠かせない。意識するのは、「上司が求めるタイミングで」、「上司がほしい内容を」、「自分の意見を添えて」伝えることである。

報告するタイミングは、上司が出席する管理職会議の前である。それぞれの部下の案件の進捗状況をまとめて報告しないといけないからである。上司が資料をまとめる時間を考慮して、会議の2〜3日前には進捗を報告することを心がける。このタイミングを逃さずに報告できると、評価が上がる。

報告する内容は、「いまどうなっているのか」「この先どうなりそうなのか」の現状と見通しを伝えることである。報告するときには、ポイントだけを短く伝えることを意識するのが好ましい。ひとつの案件につき1分以内を心がける。報告する案件も、重要だと思われるものを優先する。

さいごに自分の意見を加える。現在の状況に対して「私はこういう手を打とうと思っている」と添えられると、上司の評価はさらに上がる。状況を分析して行動できる部下は貴重なのである。

報連相の「連絡」は共有を意識する

連絡は、仕事がスムーズに進むように関係者と情報を共有することが目的である。「誰に伝えるべきなのか」「どの程度の情報を伝えるべきなのか」というプロジェクト全体を管理するマネジメント能力が求められる。すべての関係者に過不足なく情報を伝えることを心がける。たったひとりの人物がもれてしまったり、ひとつの情報が欠けてしまったりするだけで仕事が止まってしまうこともある。

連絡は相手は複数であることが多いので、CCメールなどで一括して同じ内容のメールを送るのは当然のことである。しかし、関係者の案件への関わり具合によって、一括で送ったメールの内容よりさらに詳細な情報を伝えた方がいい場合もある。誰にどの情報を共有するべきなのかを考えて、個別にメールを送ったり、直接会って話をしたりするなど、仕事が滞りなく進むようにフォローする。

報連相の「相談」は自分の意見を伝えることを意識する

相談は問題を解決するために、上司などに意見を求めたり判断してもらったりすることが目的である。相手が意見を述べやすい、判断しやすいように情報を過不足なく伝える必要がある。「ちょっと何を言っているのかわからない」という伝え方では相手は困ってしまうし、情報が間違っていたり足りなかったりすると正しい意見や判断をしてもらえなくなる。

相談するときには、自分の意見を添えるようにする。問題に対して「私は〇〇という解決策でいこうと思うのですが」と伝える。

解決策がいくつか用意して「解決策はA案、B案があります。私はA案で進めたいと思っています。」と伝えることができると、評価はさらに高くなる。複数の選択肢を提示することで、上司が判断しやすくなるからである。相談に費やす時間も減る。クレーム処理などでは、すばやく問題を解決することができる。

決して「〇〇という問題があります。どうすればいいですか?」と自分で考えることを放棄しないこと。上司がゼロから解決策を考えることになる。時間がかかるし、これでは部下がいる必要がない。主体性のない、受け身な人物だと評価されてしまう。

以上が「報告」「連絡」「相談」の違いである。報連相は上司も部下も、自分の評価を上げることが目的だけれど、そのおかげで情報が社員のあいだを循環して、組織はスムーズに運営されていくのだ。

報連相の目的は上司も部下も自分の評価を上げることである