日本の好感度って高いの? 世界6カ国アンケート調査の結果を発表

日本の好感度って高いの? 世界6カ国アンケート調査の結果を発表

外国人を見ない日はない。それほど、日本には多くの旅行客が訪れている。

日本政府観光局(JNTO)によると、2018年の訪日外国人旅行者は史上初めて年間3,000万人を超えたようだ。年間1,000万人を初めて超えたのが2013年だから、とんでもない勢いで増えているのがわかる。

そこで気になるのが日本に対しての好感度だ。「おもてなし」の国を自称する日本としては、訪日旅行者には「もういちど訪れたい」と思ってほしいし、日本に来たことがない人には「行ってみたい国」でありたい。日本人としては、やっぱり日本の評価が気になるところだ。

この記事では、公益財団法人新聞通信調査会が2019年2月に公表した『諸外国における対日メディア世論調査』をもとに、世界から見た日本の好感度を紹介する。

『諸外国における対日メディア世論調査』の調査概要

  • 調査期間 – 2018年11〜12月
  • 調査対象 – アメリカ・イギリス・フランス・中国・韓国・タイの6カ国
  • 回答者 – 各国約1,000人 合計5,963人 10代から70歳以上の男女
  • 調査方法 – アメリカ・フランス・韓国が電話調査・イギリス・中国・タイは面接調査

同調査は2015年から毎年行われており、今回で5回目を迎える。

日本は好感度が高い国

日本の好感度は高い。7カ国間の好感度調査では、アメリカ・フランス・タイでは1位、イギリスでは2位だった。

日本は好感が持てるか?

日本に対する好感度(「とても好感が持てる」と「やや好感が持てる」の合計)は、タイがもっとも高く96.5%だった。アメリカ(85.7%)、フランス(79.1%)、イギリス(62.0%)とつづく。大きく離れて、中国(33.9%)、韓国(32.0%)という結果だった。

日本以外の各国の好感度

日本以外の各国の好感度も見てみよう(日本では、アンケートを実施していない)。

日本以外の国の好感度

日本を除いた6カ国間の好感度調査では、欧米3カ国が高い数値を示した。

アメリカは、韓国では2位、イギリスとタイでは3位。イギリスは、韓国では1位、アメリカ・フランス・中国・タイの4カ国では2位。フランスは、イギリスと中国では1位、アメリカと韓国では3位だった。

アジアでは、中国と韓国の好感度が低い。両国では、50%台や50%を下回る国が目につく。

好感度が50%を下回る国があったのは、日本・中国・韓国の3カ国だ。日本は2カ国(中国33.9%、韓国32.0%)中国は3カ国(イギリス45.5%、フランス43.8%、韓国28.6%)、韓国は2カ国(イギリス34.4%、中国36.8%)だった。

ただ、これはフェアではない。日本からの好感度が抜けているからだ。日本でもアンケートを実施していたら、中国と韓国の好感度は50%を下回るだろう。

内閣府が2018年におこなった「外交に関する世論調査」では、日本人の中国に対する親近感は20.8%、韓国に対する親近感は39.8%だった。この数値は「好感度」ではなく「親近感」だが、似たようなものだろう。

中国・韓国に親しみを感じるか?

日本は信頼できる国

日本は信頼できる国だと、海外では評価されている。

日本は信頼できるか?

「日本は信頼できるか?」の質問に、「とても信頼できる」または「やや信頼できる」と答えた人の割合は、タイでは96.5%、フランスでは81.4%、アメリカでは78.1%、イギリスでは62.8%だった。

好感度と同様に、中国と韓国では極端に低く、32.4%、18.1%だった。

2人に1人以上の外国人が日本に関心を持っている

好感度の高さは、日本に対する関心の高さにも現れている。

「日本についての報道に関心があるか」の質問に対して、2人に1人以上の人が「とても関心がある」あるいは「やや関心がある」と答えた。

日本についての報道に関心があるか?

日本に関心がある人の割合は、5カ国で50%を超えている。タイでは91%、フランス・韓国では60%台、アメリカ・中国では50%台だった。50%台を下回ったのはイギリスのみだ。

好感度は低いが、日本が気になる中国と韓国

好感度が低かった中国と韓国で高い数値を示したのは、気になった人もいるだろう。

日本・中国・韓国の3カ国は、複雑な関係だ。さきほど紹介した内閣府の「外交に関する世論調査」の続きを見てみよう。

「両国の関係は良好だと思うか?」の質問に対して「良好だと思う」と答えた人の割合は、中国18.3%、韓国30.4%と低かった。

中国・韓国との現在の関係は良好だと思うか?

だが、「両国の関係は重要だと思うか?」の質問に対して「重要だと思う」と答えた人の割合は、中国81.2%、韓国69.8%と高い。

中国・韓国との関係は重要だと思うか?

仲良くするのは「重要」だとわかっているが、両国の関係は「良好」からはほど遠い。うまくいかないこの感じは、上司と部下の関係に似たものを感じる。

中国や韓国も同じような気持ちなのだろう。

好きの反対は嫌いではなく、無関心という。関心を持っているからには、まだ改善の余地があるのだと思いたい。

関心があるのは日本の科学技術

海外の人たちは、日本のなにに関心があるのか? アンケートでは、次の7項目について「自国メディアに報道してほしい内容」を聞いている。

① 政治、経済、外交政策
② 国際協力や平和維持活動
③ 科学技術
④ 歴史と文化
⑤ 生活様式や食文化
⑥ ファッション、アニメ、音楽
⑦ 観光情報

日本について自国メディアに報道してほしい内容は?

彼らがもっとも関心を持っているのは、日本の「科学技術」だ。アンケートでは、タイをのぞく5カ国で科学技術が1位を獲得した。Made in Japanは、世界ではまだまだ健在なようだ。

科学技術以外の項目は、各国で差がでた。2位は、アメリカ・イギリスでは「国際協力や平和維持活動」、フランスでは「歴史と文化」、中国では「観光情報」、韓国では「政治、経済、外交政策」がつづいた。

ちなみに、タイでは1位が「観光情報」、2位が「科学技術」だった。

意外だったのは、日本のサブカルチャーの人気の低さだ。「ファッション、アニメ、音楽」は、中国では3位と健闘したが、その他の国では最下位の7位だった。

日本はサブカルチャーの輸出に力を入れている。2013年には、官民ファンド「クールジャパン機構」を設立した。日本の魅力を事業化して、海外に発信している。その柱となるのは「メディア・コンテンツ」「食・サービス」「ファッション・ライフスタイル」「インバウンド」の4分野だ。ファイト! クールジャパン機構!

訪日経験は韓国がダントツ

日本に行ったことがある人の割合は、韓国が55.4%と突出している。アメリカと中国は10%強、イギリス・フランス・タイは5%前後だった。

日本に行ったことがあるか?

では、日本に行ってみたい人はどのくらいいるのだろう?

日本に行ってみたい人の割合は、タイがもっとも高く91.0%。中国が78.0%でつづき、ほかの4カ国は50〜60%台だった。

日本に行ってみたいと思うか?

日本で行ってみたい場所や、やってみたい体験は、アメリカは「東京」、イギリス・フランスは「観光」、中国・大破「富士山」、韓国は「温泉」がトップだった。

日本で行ってみたい場所・やってみたい経験

各国で有名な日本人

さいごに、各国で有名な日本人を紹介する。アンケートでは、知っている日本人を1人あげてもらっている。(文中では敬称を省略する)

各国で有名な日本人 各国で有名な日本人

各国の1位は、アメリカでは「オノ・ヨーコ」、イギリスとフランスでは「昭和天皇」、中国と韓国では「安倍晋三」、タイでは「天皇」だった。

2位以下は、バラエティに富む。

アメリカで有名な日本人

アメリカでは、メジャーリーガーの「イチロー」が4位にランクインした。

6位の「ジョージ・タケイ」は、日系アメリカ人2世の俳優。出演作は、テレビSFシリーズ『スタートレック』のヒカル・スールー役(日本語字幕ではカトー)が有名だ。

7位の「メイジー・ヒロノ」は、日本生まれの日系アメリカ人。彼女は、アジア系としてアメリカで初めて女性上院議員になった。

8位の「三宅一生」は、アパレルブランド『イッセイ ミヤケ』のデザイナーだ。

イギリスで有名な日本人

イギリスでは、「オノ・ヨーコ」が2位に入った。オノ・ヨーコは、アメリカでは1位、フランスでは7位と、欧米では絶大な知名度を誇る。さずがビートルズのジョン・レノンの妻だ。

4位には、2017年にノーベル文学賞を受賞した「カズオ・イシグロ」がランクインした。カズオ・イシグロは、1989年には長編小説『日の名残り』でイギリス最高の文学賞ブッカー賞も受賞している。

6位の「尾田栄一郎」は漫画『ワンピース』の作者。ワンピースは2017年10月に世界累計発行部数が4億3,000万部を突破したモンスター漫画だ。

「香川真司」はサッカー選手。2012〜14年シーズンには、イングランドプロサッカーリーグ(プレミアリーグ)のマンチェスター・ユナイテッドに所属していた。

「宮本茂」はゲームプロデューザー。任天堂の『スーパーマリオシリーズ』や『ゼルダの伝説シリーズ』、『ドンキーコングシリーズ』の生みの親だ。

「隈研吾」は建築家で、東京大学教授。建築作品には、『浅草文化観光センター』『GINZA KABUKIZA』『スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店』『ティファニー銀座』などがある。

フランスで有名な日本人

フランスでは、漫画・アニメのキャラクターが多数ランクインした。

2位には「孫悟空」(『ドラゴンボール』の主人公)、3位には「ナルト」(『ナルト』の主人公)、4位には「ピカチュウ」(『ポケットモンスター』シリーズを象徴するキャラクター)、8位には「UFOロボ グレンダイザー」(永井豪原作の漫画・アニメに登場するロボット)、10位には「ルフィー」(『ワンピース』の主人公)が入った。

映画監督では、宮崎駿(6位)と黒澤明(9位)が入った。

中国で有名な日本人

中国では、2位に福原愛が入った。さすが卓球大国だ。

全体では、日本の芸能人が目につく。4位には「山口百恵」、5位には「木村拓哉」、8位には「高倉健」、9位には「酒井法子」がランクインした。

韓国で有名な日本人

韓国では、歴史上の人物が多数ランクインした。

2位の伊藤博文は初代韓国統監、3位の豊臣秀吉は朝鮮出兵と、ともに韓国にゆかりがある日本人だ。伊藤博文を暗殺した安重根は、現在も韓国では英雄とされる。

4位には、フィギュアスケート選手の浅田真央が入った。韓国では、キムヨナのラ好敵手として人気だ。

タイで有名な日本人

タイでは、日本の芸能人を知っている人が多いようだ。

4位には女優「深田恭子」、6位にはロックバンド「X-Japan」、7位にはアイドルグループ「AKB48」、9位には元セクシー女優で現在はタレントの「蒼井そら」、10位には歌手「宇多田ヒカル」が入った。

10位の「miyabi」は誰だがわからない。ロックミュージシャン「MIYAVI」だろうか?

まとめ

日本の好感度が高いようで、なんだかほっとした。好感度が高いのは、先人たちの積み重ねがあってこそだ。僕らはそれを未来に繋いでいかないといけない。

それと、タイが好きになった。海外旅行に行くなら、タイに行きたい。

海外旅行や海外出張のタブーまとめ|注意すべき外国のマナーと文化

参考サイト

日本の好感度って高いの? 世界6カ国アンケート調査の結果を発表